アコースティックギター製作記録 #04(バインディング・パーフリング編)

自宅でアコギを作っています。その続きです。ここからは、一発のミスですべてが終わってしまうような緊張感のある工程が続きます。

トリマーによる溝堀り

箱(ボディ)が形になったら、まずパーフリングとバインディングを入れるための溝を掘ります。これにはトリマーを使用します。

参考にした書籍では、プロの製作家が専用治具を用いて一瞬で作業を終えており、素人目には「何が起こったのか?」というほどスムーズでした。しかし実際にやってみると、これはとても緊張する作業です。

調べたところ、トリマービットの下に小さなベアリングを付けることができ、そのベアリングの直径を変えることで掘れる溝の幅が変化します。計算式は

(ビットの直径-ベアリングの直径)÷2 = 溝の幅

となります。

一般的に、バインディングの幅は約1.5mm、パーフリングも1.5mm前後が多いので、まず3mm幅・深さ1.5mmで外周を一周し、その後、幅1.5mm・深さ6mmの溝を掘る、という二段階の作業を行いました。ビットは中国の通販で安く購入できましたが十分でした。

作業はトップとボディに沿ってトリマーをぐるっと動かすだけ。理屈で言えばほぼ間違う事は無し。ただし、借り物のトリマーはベース固定がネジ式で少し頼りなく、上げ下げ調整に不安があります。実際に端材で動作確認をしてから本番に挑みましたが、コレットの締めが甘かったのか途中でビットの位置がずれてヒヤッとする場面もありました。幸い大きなトラブルにはならず、無事に溝は掘れましたが、トリマーの騒音は想像以上で、イヤーマフ必須ですね。

手彫りでの調整

構造上、すでに穴を開けてしまった部分(コンター付近など)はサイド板がなくトリマーが入らないため、そこは手作業で対応。コンパスで溝幅をケガいて、彫刻刀やノミで丁寧に彫りました。ここも集中力を要する工程です。

パーフリングとバインディングの取り付け

溝ができたら、まずパーフリングを接着します。瞬間接着剤のスポイトタイプが使いやすく、素早く作業できます。

バインディングは、Martin D-18に寄せてセルロイド製を選びました。本来、セルロイドは専用の溶剤で溶かしながら接着するのが一般的で、木材の収縮に追従できる利点があります。今回はエポキシ接着剤と瞬間接着剤を併用しました。

曲げが必要な部分は、ジャンクで入手したカールアイロンを使用。セルロイドは120℃前後で曲げやすく、きついカーブも意外と素直に曲がってくれました。

ジャンクでも役に立つ(笑)

接着はエポキシをまんべんなく塗り、紙テープで固定しながら曲線に沿わせます。浮きが出る箇所は瞬間接着剤で補強し、指でしっかり押さえ込みます。

サイドの穴補修(パッチ作り)

今回は加工ので一部トップ・サイド板に穴を開けたため、パッチで塞ぎます。一般的には内側から補強板を仕込んで削り出す方法もあるようですが、私は外側から合わせました。この方法でも出来上がりはしっかりしていて演奏上全く問題ない事を確認しています。

穴に紙を押し当てて型を取り、それを基にマホガニー板を切り出します。厚みを約2mmまで削り、水に浸して柔らかくしてからカールアイロンで曲げると、サイドのRにしっかりフィットします。マホガニーは水で柔らかくなりやすく、意外と簡単に曲がってくれました。

合わせたパッチは 木粉とエポキシ接着剤 でパテ状にして固定。乾燥後にヤスリで仕上げれば、自然な感じで補修できます。

最終調整と削り出し

パテが乾いたら全体を研磨。今回のキットはサイド板が合板で、表層が薄いため削りすぎると下の層が出てしまう点に注意が必要でした。

溝が浅かったせいで、バインディングがボディから少し飛び出してしまい、面一にするのに苦労しました。ヤスリとスクレーパーで丁寧に削り、ようやく綺麗に仕上がりました。スクレーパーは刃を逆立てて薄く削れるので、とても便利な道具だと実感しました。

難所を何とかクリア(ブリッジは仮置き)

ネックの仮合わせ

ここで、ネックをボディに仮合わせしました。ノミと鋸でジョイント部を少しずつ削り、フィット具合を確認します。最初は小さめに削って、徐々に広げて調整。ヒールが短めでバインディングに干渉していたため、一時的に「はまらない?」と混乱しましたが、原因がわかれば解決です。
まだ接着はしておらず、あくまで仮合わせの段階です。

ネックの接合調整もクリア

指板加工

指板は、PCでスケール図面を作成し、それをプリントアウトして事前に切り出しR加工を済ませたエボニー板に貼り付けました。その上からノコギリでフレット溝を切ったのですが、後から確認すると片側が約1mmずれていることに気付きました。頭に「終了」の文字が浮かびましたが、木粉と瞬間接着剤で一度溝を埋めてから再び切り直し、ステンレスフレットを打ち込みました。丸一日かかりましたが、なんとか修正できました。

ずれているのに気が付かず紙を貼って切るのは失敗

現状確認

ネックはセンターをしっかり通り、指板を仮置きしてブリッジ位置との関係も問題なし。ネック角も適正で、幸い一発で決まりました。もし狂っていたら修正に相当な時間を取られていたと思います。

カーテンからわかるように元子供部屋で作成中(笑)

ここまでで、箱(ボディ)~バインディング接着~サイド補修~ネック仮合わせ~指板加工まで進みました。

ただ、まだまだ インレイの作成、トラスロッドの埋め込み、指板の本接着、ボルトオンネックの本接合 など、これからの作業も山盛りです。完成までの道のりは長いですが、一つひとつ慎重に進めていこうと思います。

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