DIYでアコースティックギターのデュアルピックアップ取付

デュアルピックアップを自分で取付けてみる

デュアルピックアップは二つ以上のアコギ用のピックアップを組合わせるやり方ですが、特にマグネットピックアップとコンタクトピックアップを組合わせる押尾コータローさんのシステムのような方法は、一般的ではないので普通の楽器屋さんにお願いすると知識不足から失敗する可能性があります。一つのエンドピンジャックがステレオになっていて二つのシステムの信号を出せるという事を知らないでギターに穴をもう一つ別のところに開けられた、というのを見たことがあります。依頼するなら知識と実績のあるところにお願いできればと思います。

今回手持ちの機材を使ってなるべく安く、短時間で取り付けることを目標に取り組みました。

準備

今回使用するギター

ベトナムのハンドメイドギターのGriffith Guitars(グリフィスギターズ)の総単板ギター。スペックにしては驚くほどの低価格なハイコストパフォーマンスなギターです。あらかじめエンドピンジャック用に12mmの穴を拡張してもらっています。穴あけに関しては色んなサイトでやり方がありますので参考にしていただければと思います。
グリフィスギター

今回使用するピックアップ

コンタクトピエゾを2個使用するタイプと手持ちのマグネットのデュアル仕様にします。1個での取付は的確な場所を探すのに時間がかかりますので2個仕様のものを使います。今回はヤフオクで自作販売している方の「自信あります」に引かれて格安で購入しました。接続部は全部RCAに変えてもらっています。他プロのピックアップも接続部はRCA仕様となっているものが多いですね。他TSピックアップなど良さそうなものがありますよ。

今回購入したピックアップはパッシブながらマグネットよりも高出力でなかなか良かったです。実用には問題はありませんでした。コンタクトピエゾ、マグネットそれぞれがRCAのピン・ジャックで接続できるよう処理されてあり、作業がはかどりました。処理がされてない場合は自分で取り付けるなどの作業が必要になると思います。

マグネットはパッシブで手元にあるSunrise S2を使います。すでに他のものに使われておりジャックもRCA仕様にしてあります。パッシブのマグネットは他にMike DawesがDiMarzioと開発したBlack Angelというのが良さそうですね。

下の写真は今回取り付ける予定のデュアルピックアップのセット。
取付けるのはこんなイメージで

取付にあたり難しい事

難しいのはギターの内部に手を入れて部材の取り付け作業で、ギターの置くまで手が中々届かないという事、中がどうなっているのかわからない事、弦を張って音を出したら思うような音でなく、コンタクトピエゾの貼り付け場所を変えるためにまた弦を外すなど何度もやり直さないといけない事等があげられます。ギター内部が見えないでわからないまま作業を進めると何度もやり直しが発生してしまいます。

問題の解決のために

百均でギターの内部に置くことができるLEDライト、WEBカメラを使います。LEDライトで内部がわかるように照らし、WEBカメラをギターの内部に入れてパソコン画面で内部を確認しなが作業を進めることにしました。これでピックアップの取付場所の確認、内部配線作業が楽に進むと思います。

事前に必要なもの

デュアルシステム用のプリアンプ
マグネットとコンタクトの2つの信号をステレオで受けることのできるプリアンプは限られています。
L.R.BAGGS / MIXPRO
Trial / Dual Input Preamp
Tidemark / Tutorial2
Tidemark / Impress Conc.
Headway EDB-2
Enfini Custam Works / Compact Headamp Unit Battery
ステレオシールドを分岐させる方法を取れば BOSSのAD-10も使えると思います。

ステレオフォン(TRSフォンーTRSフォン)のケーブル
ステレオケーブル、TRSケーブル、など呼び方はいろいろあるかと思います。通常のギターシールドはモノラルですが、2つの信号をミックスさせないでプリアンプに送るためにこの手のケーブルを使用します。カナレやモガミのマイクケーブルを使って自作することも可能です。エンドピンジャックとプリアンプをつなぎます。

音出し確認用モニタースピーカー、ギターアンプ
プリアンプ→オーディオインターフェース→モニタースピーカー+ヘッドフォン+PCという流れが良いのですが、なければ出来るだけ素の音が出せるアコースティックアンプが必要です。プリアンプの後につなぎます。

あると便利なもの

使用済みギター1弦
エンドピンジャックをギターの内部から差し込むのに手が届きません。エンドピンジャックの穴のついた部分に弦を通し引っ張って抜けないようにし、先に12mmの穴に通して外から飛び出た弦を引っ張りジャックを引っ張り出します。この方法が一番やりやすいです。

WEBカメラ
ギター内部は見えません。配線をする際にきれいに仕上げるためにギターの内部にカメラを入れ、PC画面上で配線の具合を確認します。

LEDライト
百均で買えますが、できれば蛍光灯みたいに横長になっているものが全体を照らすのに役に立ちます。

磁石のついたピンなど2個
コンタクトピエゾはできるだけブレーシングのそばに貼り付けるのが良い、とされています。ブレーシングは外から見えませんので手探りになりますが、ギターの表と裏に強力で小さな磁石をトップ板を挟んで合わせて置くとピエゾの位置を決めるのに便利です。

ウエスと無水エタノール
アルコールは無水エタノールが薬局で売ってますのでこれをウエス(布)に塗りコンタクトピエゾを貼り付ける際にその場所を拭きます。また配線の際の両面フックを貼り付ける際にも貼る前に一度そこをウエスで拭きます。

両面テープ付きケーブルフック
ギターの側板の角にフックを貼付け内部配線をしていきます。

両面テープ
3Mやニトムズなどが使われます。貼り直しの際に使用しますが、薄手で強力なものが使われます。

PCおよび周波数アナライザのソフト
PCがあると大変便利です。周波数アナライザを立ち上げ、オーディオインターフェースからリアルタイムにPCに入ってくるギターのラインの音を分析します。分析と言っても波形の形に大きな偏りがないか、外部ノイズが入ってきているかを見るだけです。波形編集ソフトAudacitySoundEngine Freeなどで使えます。

どの位置にコンタクトピエゾを貼るか

コンタクトピエゾの場所ぎめが一番大変かと思いますがTSギターさんが示しているように、一つはブリッジの下の低域より、もう一つは1弦側ギターの側板近くとブレーシングが位置する付近にというのが無難なのかもしれません。実際にやってみてそう思いました。ただギターの形状やブレーシングの様子によって異なるかと思います。今回取付けて見てしっかりとパームを効かせることができました。(後にコンタクトピエゾ1個だけ取り付けるやりかたをとっています。DIYでアコースティックギターのデュアルピックアップ取付 3をご覧ください)

取付作業

以上の準備を進めて実際の作業に入ります。

1.コンタクトピエゾの位置を決める

コンタクトピエゾ、シールド、プリアンプを接続し音が出るようにし、弦を張ったままのギターのトップ板にコンタクトピエゾを載せて音を出して出音がどうなるかを確認します。コンタクトピエゾには粘着を弱くした状態にするか、養生テープを上から貼るかなどしトップ板の塗装に影響が無いよう気をつけます。予想の位置を決めるために磁石のついたピンをトップ板の表と裏につけてブレーシングの横の位置を確認します。

出音をヘッドフォンやスピーカの音に問題がないかを見ます。PCがあるならば波形アナライザで実際の生音とラインの音の波形の山に大きな違いがないかを見ます。コンタクトピエゾは性質上シャリシャリの中高音寄りになりますので中低音がしっかりと波形が出ているかを確認します。一個目はブリッジの6弦寄りでしっかりと低域を確保し、もう一個でよい中高音が出る場所を探します。奏法でパームを使う人はちゃんとその場所でパーム音が出せるかを確認してください。良い場所を見つけたらその場所を覚えたり、印をつけたりします。
磁石でブレーシングの位置を見る
巣ペトルアナライザを使い極端な音のとびぬけがないかを見る
貼り付け位置が決定したところ

2.エンドピンジャックをつける

シールド、プリアンプを外し、エンドピンジャックのナットやワッシャー、カバーを外します。内部に残すのは内部のエンドブロックに止がはいるように工夫されたギザギザのついたワッシャーとナットで後はギターの外部からつけます。きちんと外部にエンドピンが出るように内部のナットの位置を決め、エンドピンジャックのついている穴にギター弦を通し抜けないように紙テープなどを巻いておきます。そのままギター内部にギター弦を12mmの穴から通して出し、そとから引張りジャックが12mm穴を通るようにします。必要分の長さが出たら残りのワッシャー、ナットを通して穴に棒などを通して固定してナットを締めます。そのあとにカバーを締めます。エンドピンジャックをそのまま利用する方法は外部からのノイズを拾いやすく、アースが取れずにハムノイズの原因となります。のちにエンドピンボックスによる方法にやり替えました。DIYでアコースティックギターのデュアルピックアップ取付 2およびDIYでアコースティックギターのデュアルピックアップ取付 3をご覧ください

3.内部配線をする

ギターの内部にLEDライトとカメラを入れPCのモニター上で内部が見えるようにします。フック、及び、コンタクトピエゾの貼り付け位置をアルコールのついたウエスで切れに拭きます。両面フックのシールを剥がし、モニターを見ながらギターの側板の下側に貼っていきます。フックに線を通していきます。場合によっては線が余ることもあると思いますが、ブラブラするとノイズの原因になりますので線が折れないようしっかりフックに留めるようにしてください。マグネットを使用する場合はマグネット用のRCAジャックを準備していると思いますので取付がしやすいようサウンドホール下に取り付けてください。
PCを見ながら配線をしました

4.コンタクトピエゾ貼付け

予定の場所に両面テープをはがしてコンタクトピエゾを取り付けます。モニターでその場所をアルコールで拭き、場所にしっかりと取り付けてください。

5.マグネットピックアップ取付

RCAピンをジャックに差し込みサウンドホールにピックアップを取り付けます。
マグネットピックアップを接続するジャックをサウンドホール周りに設置します
マグネットピックアップを取り付けて完成

取付けた結果

マグネットピックアップを取り付けて音出しをしてみました。思ったよりうまくいきました。コンタクトピエゾはできるだけ補正しなくても良い音にすることが必要で、思った通りに行かない場合はコンタクトピエゾの貼り直しをしますが、今回はたまたま?ピエゾが2個だったから?問題がなかったようです。アースが十分でなく60Hzのところでノイズが出ていました。家庭用電源のノイズを拾っているようです。この問題はエンドピンボックスのやり方で解決しました。

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