DIYでアコースティックギターのデュアルピックアップ取付3

 ヤフオクで落札したアコギにデュアルピックアップを取り付けるのはそんなに難しくはない

このブログでもアクセス上位に上がるデュアルピックアップの取付け記事ですが、何回もやっているうちにアマチュアレベルでもそんなに難しくないなと思いました。今回ヤフオクで落札したアコギに取り付けましたのでその様子を上げたいと思います。全部機材がない状態でしたら、市販のものを買う方が安くつくと思いますが、ある程度の工作の機材があるなら大変安価に済むはずです。流れは

  1. ギターのエンドピンジャック用の穴をあける
  2. エンドピンボックスの作成
  3. コンタクトピエゾの貼り付け位置を決定
  4. 配線、マグネットピックアップの取付け
  5. テスト

となりました。アコギに傷をつけても平気という方向けの記事になります。なお、人によって受け取り方、感じ方、器用不器用等違いはありますのでその辺はご自身の責任で行ってくださるようお願いします。ちなみ私は器用不器用でもなく案外いい加減にやっています。

1.ギターのエンドピンジャック用の穴をあける

必要なもの

電動ドリル、付属のドリルセット、12mm用の木工ドリル、マスキングテープ(百均)

お家に電動ドリルは必須だと思います。マキタや日立などの業務用までいかなくとも小さなものでも十分だと思います。上記のものでも今のところ全く不自由していません。この際ぜひ一つ(笑)
エンドピンジャックを通すのに12mmの穴が必要になります。12mmの木工ドリルが必要です。電動ドリルに取付けられる形状のものを選んでください。回転ものは周辺のものを巻き込んだり握りが足りないと手首を痛めたりします。使用の際は十分に注意してください。

穴をあける

アコギのエンドピンがついていると思います。ペンチなどでつかんで引き抜きましょう。引き抜けないほど固定されている場合はペンチで思い切ってカットしても構いません。中に残っている部分はドリルで穴をあける際に取り除かれます。
マスキングテープを貼りましょう
穴をあける前にマスキングテープで養生しましょう。穴をあける際に周辺の塗装が割れることがありますのでそれを防ぎます。
付属の小さいドリルで穴をあけ、ドリルを大きくしていき、最後は12mmのドリルで穴をあけます。写真では百均のドリルハンドルに取付けて手回しで穴をあけようとしているところです。これで開く場合が多いのですが、今回は木が堅かったので最後は電動ドリルに取付けて明けました。ドリルが傾いて入るとエンドピンジャックが斜めに取り付けられてしまいます。ドリルはできるだけまっすぐに入れるようにしましょう。木工ドリルは木くずがドリルの隙間から出てきます。それを受けることができるよう下に木くず受けを置いておいた方がいいと思います。
穴が開いたところ
過去に4回ほどやってみましたが難易度としては低い作業だなと思います。穴周りの塗装が割れてもジャックを取り付けると目立たなくなりますからよっぽどの割れでなければさほど気にすることはないかと思います。

2.エンドピンボックスの作成

必要なもの

タカチのアルミケース
ボックスの核。エンドピンボックスで作成するとハムノイズを抑えることができ、必須のパーツになります。いいサイズを見つけるのに苦労しましたが、リンク先のものがピッタリでした。

今回はRCAの接続を使用します。RCAに対応したパーツをエンドピンボックスに取付けます。リンク先のものを使用しました。

エンドピンジャック
音質にかかわるところなので良いものがいいと思いますが・・・私はヤフオクで手に入れました(笑) 長さが短すぎるとギターの外まで出ませんので短いものはやめましょう。
エンドピンジャック


リード線

ミニ万力(あると便利ですよ~サドルの自作とかにも使えます)
タケノコドリル(12mmまで開けられるもの)
テスター(配線ができているかを確認します。必須のアイテムです)

グルーガン(あると便利です)

はんだごて(いろいろと役に立ちます。この際ぜひ一つ)

あとジャック類をボックスに固定するためにナットを回しますのでラジオペンチが必要です。またボックスのふたを閉めるのにドライバーが必要です。

ボックスの作成

ミニ万力を机の上にセットし、万力でボックスを固定して付属の小さなドリルで穴をあけます。穴が開いたらタケノコドリルで必要なサイズに穴を拡張します。
ドリルで穴をあけます
穴が開いたらエンドピンジャンク、ピンジャックを固定してリード線で配線します。エンドピンジャックは一度ボックスに取付けて、実際にあけた穴に通してみて長さがちょうどよいかを確認してください。エンドピンジャックによってはワッシャーやナットの数が足りないこともありますので、その際はホームセンターで買い足してください。
配線完了
はんだで配線が終わりましたらはんだ不良がないかを確認し、テスターを使って配線に問題がないかをチェックします。混線が起きてないかを確認してください。実際の使用の際、エンドピンジャックがねじれてはんだ付けした部分が間隔が狭いためお互いが接触して接触不良を起こす可能性があります。私の場合は接触不良を起こさないようにグルーガンを隙間に補填して接触不良がないようにしています。またピンジャックもぐらついていることが多いのでそこにもグルーガンを使いました。
完成したところ
今回2回目の作成となりましたが、エンドピンジャックの長さの調整に手間取った以外はとくに難なく出来たと思います。リード線のはんだ付けがエンドピンジャックは狭いのでやりにくいですが、丁寧にやればできると思います。実際にステレオシールドをつないでTip(さきっちょ)とRing(中間)がどっちのピンになっているかをテスターで確認してください。基本的にTipにコンタクトピエゾ、Ringにマグネットピックアップの信号が来るように配線をします。難易度は中くらいですかね。ここが一番難しいかも

3.コンタクトピエゾの貼り付け位置を決定

必要なもの

コンタクトピエゾ
コンタクトピエゾは薄手で小さいものを選びます。おすすめの市販のものというのがどうしても高額なものになってしまい、格安でデュアルピックアップという意図から外れるためおすすめするものがありません。私の場合はヤフオクで格安で販売されているものを使用しています。性能的にはこれで十分です。
コンタクトピエゾ
他の機材と接続が簡単にすむようRCAピンで処理されたものを使います。

両面テープ
コンタクトピエゾを一発で貼ってしまえば必要ないのですが、やり直しをしたい場合は両面テープが必要になります。一般には日東のものがよく使われるようです。

マグネット(百均)
マグネット
表板のブレーシングの位置を探るために使用します。せっかくよい貼り付け場所があったとしてもブレーシングの場所には張り付けられません。ギターの表板の表と裏にマグネットを挟むとブレーシングがないところは一緒に動きますが、ブレーシングがあるところは動きませんのでブレーシングの位置を外側から見ることができます。

ステレオシールド
デュアルシステムではギターとプリアンプを接続するためにステレオシールドが必須になります。中々市販でステレオシールドがありませんので自作もありです。なお、シールドは長くなると音が劣化しますので必要最低限の長さにします。
デュアル用プリアンプ
プリアンプが一番お金をかけるところになりますが、市販ではいまトライアル一択になると思います。押尾コータローさんもおすすめのメーカーです。

ヘッドフォンで音を聞ける環境
プリアンプから出力された音を聞いて判断することになるのですが、コンタクトピエゾの貼り付け位置を決めるためにヘッドフォンを使って聞けるようにしてください。アコギ用アンプのヘッドフォン端子を使ったり、パソコンのオーディオインターフェースにつないで聞いたりします。

もしできればパソコンでスペクトル分析ができる環境を
DAWのソフトがインストールされていればピックアップの音が視覚化されると確実です。なければフリーソフトのAudacityの周波数分析で対数周波数軸を選択して使えると思います。

コンタクトピエゾの位置決め

コンタクトピエゾの貼り付け位置を決めるために準備したピエゾにシールド、プリアンプをつなぎヘッドフォンで音が聞けるようにします。ピエゾには幅広のマスキングテープを上から貼り適当な場所にギターの外から張り付けてギターの音を出してその音をヘッドフォンで確認します。
ピエゾの位置決め
ヘッドフォンで音を聞きながらもっとも自然に聞こえる場所を探します、と言ってもわかりにくいと思いますのでとにかくいろんな場所に位置を変えて弾いてみるとだんだんわかってきます。「何か変な音だな、自然じゃないな」と思う場合はその場所は違うという事です。マスキングテープは貼り直しが聞くので何度でも場所を変えて聞きなおしができると思います。粘り強くやっていくとある場所で「あ、これは自然だな」と思える箇所が出てくると思います。そこがベストポジションになります。もしスペクトル分析のソフトがあれば、波形に極端に出ているところがなく、なめらかに「へ」の字のごとくになっていればOKです。

自然だなと思えるような場所に近づいたら、いったん弦を外しマグネットを挟んでブレーシングの位置を確認しながらその周辺のベストポジションを絞っていきます。後は自分の奏法の中で支障が出ないかを確認します。例えばその場所の上を演奏中に直接叩いてしまうと大きな出音になってしまいますので、そこは避けざるを得ないという事になります。やってみると最初は変な音でもある場所になると自然な音になりますので粘り強く頑張ってください。市販のものと大きな差をつけられますよ。上記の写真は私が見つけたこのギターのベストポジションです。時間をかけるだけなので耳さえしっかりしていれば難易度は低いと思います。

4.配線、マグネットピックアップの取付け

必要なもの

マグネットピックアップ接続ケーブル
エンドピンボックスとマグネットピックアップを接続するための中間ケーブルを作成します。作成したらテスターで問題がないか確認しておいてください。
中間ケーブル

RCAプラグ中間ケーブルはプラスチック筐体でいいですが、マグネットケーブル用は頻繁に取り外しが行われますので接続が弱くならないようメタル筐体のしっかりしたものを選んでください。このサイトにもいくつか候補が載っています)
シールド30cm程度(ギターのサイズによる)
ケーブルクリップ、ケーブル止め(ホームセンター、百均)

マグネットピックアップ
お手持ちのマグネットピックアップで(笑) 容赦なく既存のものはぶった切ってケーブルの接続部分をRCAオスにはんだ付けしてコネクターを変えてください。最近はSunrise S2が手に入りにくい価格になってしまってますので、良いものを自分で探すしかないのですが、DP230 The Angel Passiveとかお手頃でいいのではないかと思います。Mesquite Humbucking Acoustic Soundhole Pickup天下のフェンダー、これも良さそう。

無水エタノールとウエス
テープを貼る前にエタノールで拭いてゴミを取り除く必要があります。しっかりやっておいてください。

配線をしてみました

エンドピンジャックのTipにコンタクトピエゾ、Ringにマグネットピックアップが接続されるようにします。
配線の様子をWebカメラを内部に入れて画面で見ながら行いました
あると便利なのがWebカメラです。パソコン画面上でギターの内部を見ながら配線ができます。まずはエンドピンボックスにコンタクトピエゾ、中間ケーブルを接続し、開けたギターの穴に設置します。そして貼り付けの位置を決めたらアルコールを浸したウエスで内部を良く拭いてコンタクトピエゾやケーブルクリップを張り付けていきます。ケーブルが余ってプラプラしているとノイズの原因になります。ケーブルを固定したら最後にマグネットピックアップを取り付けて完成。難易度も低いですね。
手持ちのSunrise S2を付けました

5.テスト

配線が完了したらステレオシールド、プリアンプ、ギターアンプに接続し音出しテストをしてみます。ジーと音が出た場合は、各パーツにテスターで確認をしているとしたら、接続不良が原因となります。もう一度エンドピンボックス、中間ケーブルの接続を確認します。
またマグネット、コンタクト、それぞれが音が出ているかをプリアンプのつまみを絞ったりしながら確認します。コンタクトピエゾの貼り付け位置さえ良ければかなり満足できる音が出るのではないしょうか。

6.他応用

ステレオワイヤレス
ステレオシールドの代わりにワイヤレスも使えます。

この機材のレビューもしていますが、未だに壊れることなく使用できています。デュアルシステムのワイヤレス化もこれで簡単にできてしまいます。

ABYボックス
トライアルのプリアンプによってマグネットピックアップの信号を別にすることができますが、それをABYボックスで分岐し、エレキ用のペダル付きマルチエフェクターにつないでお手持ちのギターアンプで並行して別に音出しすることが可能です。従来のデュアルシステムのエレアコの音に必要に応じてマルチエフェクターで厚みや変化を作り出すことが可能になります。


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