アコギで使うAmpero 2 stomp

やりたいことが多くなる⇒機材が多くなる⇒省スペースにしたくなる

アコースティックギターにピックアップを接続したいわゆるエレアコ仕様にして音をだすようになると、機材を良くしてみたりいろんな音を出してみたくなったりして、エレキギター奏者の足元みたいに巨大な機材群が並んでいたりするもの。そうなると持ち運びに苦労するようになり機材トラブルも多くなります。もっと簡単で多くのことができる機材はないかと考えマルチエフェクターは使えないかという話になります。

小型の多機能なマルチエフェクターで音に妥協したくないときは3つに絞られるが、アコギ用としてはAmpero 2 Stompが現状ベスト

先日HotoneのAmpero stomp miniが発売され、その機材が自分のボードに組込めないかと調べていくうちにHotoneのAmpero 2 stompがアコギ用のボードに最適であることがわかり、早速取り入れることにしました。同価格帯としてLINE6 HX STOMPとBOSS GT-1000 COREがあります。








BOSS GT-1000 Core


Hotone Ampero 2 Stomp



現在の販売価格は上記のエフェクターは新品が6~8万円程となっており少々高額なマルチエフェクターとなっておりますが、驚くほど多機能でほとんどこれ一台でアコギでやりたいことがカバーできます。アコギ用のエフェクターは「アコースティックギター用」と断っている事が多く、それ以外のエフェクターをエレアコに使っていいのかと思ってしまいますが、この3つはアコースティックギター用に使っても問題はありません。しかし最もアコギにも対応できるようにしてあるのがAmpero2 Stompです。音質面においても他より音のレンジが広いという評価があり、アコギに適しているといえます。その理由は

〇入力の設定をエレキギターとアコースティックギターとに変えることができる

グローバル設定でアコースティックに変えることでエレアコ仕様として使うことができます。おそらくエレキはレンジが狭いのにたいしてアコースティックはレンジを広くしてくれる設定かと思います。

〇アコースティック用のプリアンプにAERのモデリングが設定されている

AERといえばトミーエマニュエルのご用達メーカーです。AERを採用しているということでもお判りいただけるかと思います。

Ampero2 Stompで組んでみました プリアンプ、アンペロ、DIの構成です 2inしてます

〇アコースティックギター用のモデリングが搭載されている

フィッシュマンやLRBaggsなどのアコギ専門メーカーと同様にアコースティックギター用のモデリングがインパルスレスポンス(IR)という形で内蔵されています。またアコギの箱鳴り感を与えるエフェクトも内蔵されています。

Ampero 2 Stomp(アンペロ)のよさそうな機能

スペックを見ていくうちに使える思われる機能をピックアップします。よくマルチエフェクターで使われる用語に「パッチ」「バンク」がありますが、「パッチ」とはプリアンプ、エフェクター、アンプ、キャビネットなどを並べて使えるようにしたセットの事です。用途に応じて内容が変わるので「パッチ」はいくつも用意しておいて曲ごとや曲の途中などで切り替えて使用します。「バンク」とはパッチのグループの事です。マルチエフェクターごとにバンクにパッチの数が変わります。

◯パッチごとに2つの入力そして直列または並列のエフェクトチェーン(A/B)を自由に構築できる

入力1と入力2が使えます。

入力1を分岐させて出力1出力2に出せます。

内部でAチェーンとBチェーンに6つずつエフェクトを配置できますが、チェーンを任意に繋いだり独立させたりできます。

アンペロの良い所はABそれぞれのチェーンに入力1と入力2または入力1と入力2のミックスを任意に割り当てることができるところです。

信号のミックス時には位相を変える機能がついていますのミックスに支障はありません。

また二系統のセンドリターンの機能がついています。そこに外部エフェクトをつないでもいいし、単に何も繋がずシールドで直結するだけで常に原音を別に取っておくことが可能になります。歪み系のエフェクターの操作をする際、ボリュームをゼロにするとそのラインは出力がゼロになりますが、その前後にセンドとリターンを挟んでおくと常に原音を流すことができます。また原音とのブレンドもできるのでアコギらしさを失わずに歪み系を使用することができます。センドリターンはAチェーンにもBチェーンにも使用できます。

センドリターンを直結
ギターが2inできるのはBOSS GT1000 CoreとLine6 HX Stompとそしてアンペロしか無いと思いますが、アンペロのこの機能は便利ですね。アナログ機材でやろうとすると機材が増えてしまいますが、それが1台で完結してしまいます。

この機能を使って例を考えると

アンペロ内にAチェーンとBチェーンという二系統のエフェクトラインを作り、入力1と入力2をミックスします。Aチェーンにはマグネット(入力1)のみ、Bチェーンにはマグネット(入力1)とピエゾ(入力2)をミックスで、という指定をします。こうするとAチェーンにはよりセンドとリターンの間に大胆な歪系のエフェクトを掛けBチェーンはギターのより元音に近い音でEQのみを掛け、最後は再びミックスしてリバーブを最後にかける、といったような使い方を考えます。

この機能はパッチごとに変更可能でAチェーンに入力1(マグネット)Bラインに入力2(ピエゾ)のよくある構成ももちろん作れます。また、最初からミックスされた1系統のみ入力1だけでもアンペロ内部で分岐させてAチェーンとBチェーンに分けて音作りが可能です。

上がAチェーン、下がBチェーン

◯タッチパネルでわかりやすいインターフェース

GT1000 CoreもHX Stompもタッチパネルではありません。アンペロはタッチパネルであまり説明書を見なくとも他の機種に見られがちな1ボタンと2ボタンを押して始めて登場する機能・・・といったものはなく、大体こうなるんじゃないか?と思う通りに使用できます。

◯エフェクトが高品質

リバーブの質も十分すぎる程よいです。BlueSkyのようなクセもなくDAWで使えるようなナチュラルなリバーブだと思います。イコライザーも5バンドパラメトリックイコライザーがあるので自由に音が作れます。ノッチフィルターもあるのはいいですね。

◯現場で微調整するために必要なパラメータを3つのボタンに割り当てられる

事前に作ったプリセットが現場ではリバーブが少し足りなかったり、低域が強すぎたり、ハウリングが起きやすかったりして微調整が必要な場合があります。よく使うパラメータに行き着くために画面をあれこれ操作することなく、ダイレクトに調整するために上面の3つのダイヤルにパラメータをいじれるように割り当てができます。

パッシブのピックアップのギターの場合だと若干ノイズが入りやすくなるので、直接インで使えないこともないですが、別にプリアンプを使ったほうが良いかと思います。ミキサー兼エフェクターとしてこれ一台でほとんど成り立ってしまいます。あと必要なのはDIBoxくらいですかね。私は歪エフェクターとワーミー用にエクスプレッションペダルを追加します。とにかく今までのごちゃごちゃしたものが単純に済むのは素晴らしいですね。

◯インパルスレスポンスが使える

ギターアンプの出音を模したインパルスレスポンスとアコギのマイクで集音したインパルスレスポンスが使えアコギの音が変わります。おそらくドレッドノート1はD-45のIR、ドレッドノート2はD-28のIRと思われます。IRを適用すると音響特性を変えてくれるので元音がイコライジングされたり、残響音や倍音が付与されたりするのがわかります。ハミングバードのIRを使うとあの独特のジャキジャキ音に変わるので笑ってしまいました。最近はIRエフェクターも販売されているのでアコギも簡単にきせかえする時代になるのかも。

また、自作のIRや他社が販売しているIRもインポートが可能です。使用して一か月しましたが、IRはほとんど自作のものを使っています。自分のギターのピックアップに合わせてカスタマイズしたIRは相当効きます。

Ampero 2 Stompのあまり良くないと思われる点

〇出力がバランスのTRS

マニュアルにはアンバランスと書かれてありますが、英語のマニュアルと本体にはバランスと書かれてありバランスが正だと思います。TRS/XLRアダプターを使って直接PAのミキサーに送れば行けるかもと一応Hotoneに問い合わせましたが「そんな使い方はお勧めしない」との事でした。ファンタム電源に機材がやられる可能性があるのでしょうか。DIボックスを使用したほうが良さそうです。

〇パッチの切り替えが面倒

パッチの順送りと順戻りの操作ができません。バンク切り替えと割り当てられた3つのフットスイッチを押すだけです。バンクの切替もA+BとB+Cといった二つのフットスイッチの同時押しです。順送りと戻りを使うためには外部フットスイッチかMIDIを使うしかありません。

〇タッチパネルは容易に意図しないところを押してしまう

タッチパネルの操作は間違ったところを押しやすくあまり時間のない場合には操作は控えたほうが良さそうです。パッチの上書きも問い合わせすることなくさっさと間違って上書きしてしまいます。

〇オクターバーは周波数設定はない

BOSSみたいな高度な機能はありません。別途購入しループに入れるしかありません。

〇DSPのサンプリング周波数が24Bit/44.1KHz

この数字が上がると音のヌルヌル差の違いが出ます。体感的にはあまり違いを感じられませんが数値は他のBOSSやLINE6よりも音質面で劣ることを示しています。最近ファームウェアのアップデートによりDSPの不足分をPCで補えるようにUSBドライバーをアップデートし48KHz以上に対応したみたいです。この辺はよくわからないのですが、PCにUSBで接続して録音する際に音質アップが見込まれるわけであって本体自体が音質アップしたわけではないのではと思います。(個人的には音はレンジが広くクリアで音がいいと感じます)

〇EXPジャックでボリュームペダルと外部フットスイッチを同時に使用することができない

入力ジャックが1つしかなくまたどちらか一つだけしか使用できません。MIDIを使用するしかありません。

〇マニュアルが適当すぎる

代理店さんのマニュアルが完全日本語化していません。エフェクト・アンプなどは全然翻訳ができていません。英語が読めなかったら全くわかりません。誤訳もありますね。

〇パソコンは必須

この機材はパソコンに接続して設定することで本来の機能を発揮します。自前のIRデータやファームウェアのアップデートもパソコンにつながなければできません。

Ampero 2 Stompを使いやすく改善してみた

〇DIを別途購入

代理店に質問すると返事が時間がかかるので直接Hotoneに質問しました。アンペロを直接PAのミキサーにつなぐのはおすすめしない、という事で海外ではHX Stompを直つなぎしても問題ないはずと議論が上がっていたようですが、アンペロに関してはDIを使えということです。ツアーミュージシャンの方が使っていたトライアルのパッシブDIを購入しました。DIは重いという常識が覆されます。トランス入りでこのサイズと軽さはいいですね。

TRIAL PASSIVE POWER D.I. STEREO








トライアルのパッシブDI

〇ファームウェアのアップデートを行う

アンペロはPCとの接続が上手くいかない事が多いです。ファームウェアのアップデートの方法はしっかりHPを見ましょう。

〇低域のみにオクターバーがかかるIRを別途購入

私はこちらで購入しました。日本円で約2000円。オクターバーのエフェクターを買うより安いと思いました。2KHz以下の音を1オクターブ低くするIRを使うみたいでね。5,6弦がベースに変わりますね。

〇MIDIで操作できるボリュームペダルを購入

BOSS/EV-1-WLというMIDIで操作するエクスプレッションペダルを購入する羽目になりました。高いですね(汗)BOSSからのこのペダルはスマホのアプリでCC番号を接続する機器に合わせて変えることができるのでアンペロのCC番号にペダルを合わせると使えるようになりました。またアンペロのモードも踏み込むことによって変えることができるようになりました。設定はスマホのアプリを使うのですが使えるようになるまで少し難儀しました。

EV-1-WL MIDI/TRSケーブルで接続します


BOSS/EV-1-WL






エクスプレッションペダルの設定例

BOSSのエクスプレッションペダルにフットスイッチを接続してMIDIでアンペロとつながります。これでパッチの順送り順戻りができるようになりました。EXPジャックが開いていますのでさらに別にフットスイッチを接続することができます。フットスイッチは全部でで4つ増やせるということです。実際につないで確認しました。ルーパー使うなら必須ですね。

BOSS BCC-1-3535 MIDI Cable 3.5mm TRS/TRS 30cm LL MIDIケーブル







Ampero 2 Stompの使用感とまとめ

〇インパルスレスポンス(IR)が結構使える

アコギのIRは外部からフリーのものをいくつかダウンロードして使ってみましたが、IRが結構使えます。マグネットピックアップの音もIRを通すとアコギの音に変わります。生音とピックアップの音が違いすぎるので生音で得た指の感覚とライブでの指の力の入れ方の感覚がちがってうまく弾けない事がよくあります。IRを使うことでマイクで拾った生のギターの音に近いバランスに修正されます。自分のギターの生音をマイクで拾ってIRデータにしたものを使えば違和感なく弾けるのでは?これはまた後に試してみたいと思います。→試してみました。

最近のファームウェアのアップデートによりマニュアルではIRのデータも24Bit/44.1HKzまでとなっていましたがそれ以上の96KHzなどのデータも読み込んで使用することができました。

〇パラメトリックイコライザーは便利

パラメトリックイコライザーがかなり使えます。5バンドも使えるのでかなり細かく音を良い状態に持っていくことができます。パームの音もしっかり出せるようになりました。ピエゾのジャリジャリ音も周波数をうまく選びながら不快な部分をカットすると自然な音に作り変えることができます。その上でIRを入れると箱の残響音や倍音も入れてくれて本当にいい音になります。→自作IRで先に作り込めばあまり必要なくなります。

〇Acoustic Refinerがいい

エフェクトの中にあるAcoustic Refinerはアコギのボディの響きをシミュレートしたエフェクターでアコギらしさが物足りないなというときに使えます。これを入れると音が低域に寄って重低音になります。これ使えば・・・まあ内蔵マイクはいらないよねと思いました。→結局マイクを取り外しました。

〇Squeezer(コンプレッサー)が使える

エフェクト群の中にあるSqueezerというコンプレッサーはDTMで使用する基本的なコンプレッサーと同等の機能がありしっかりかかります。タッピングやボディヒットなどを多用する曲などはレンジが広すぎると各音の音量差がありすぎてまとまらない場合があります。そんな場合しっかりとまとめてくれて音圧も出してくれて便利がいいですね。スレッショルドとアウトプットだけ弄ってもしっかりとコンプの役割を果たしてくれます。スラム奏法系には絶対必要だと思います。

〇エフェクトチェーンの中にプリアンプは入れた方がいい

入れないで音作りを試してみましたが少し出力に不安を感じます。AERのプリアンプは必ず入れたほうがいいです。また完全パッシブのピックアップでもなんとかアンペロは使えますが、ノイズが拡大されてあまり良くないです。すでにアコギにプリアンプが内蔵されたエレアコなら問題ありませんが、ピックアップ後付けの場合、よいアコギ用プリアンプを別途準備しましょう。

〇センドリターンは使わなくても使える

歪系などの音そのものを変えてしまうものに直結したセンドリターンを前後に入れることによってボリュームをオンオフに関わらず原音をミックスさせることができます。またミックスの割合も変えることができるので大変便利だと思いました。

〇高級ギターを買う必要がなくなる?

パラメトリックイコライザーとIRは強力にギターの音を良くします。それだけでなく用途に応じてギターの着せ替えも可能になります。指弾きはマーチン、ストロークはギブソンのIRにと切り替えても面白いかも→自作IRが最もベストでした

〇電源は付属の純正アダプターがベストだった

アンペロが動作する電圧は9V~18V 9Vの時に800mAと書かれてあり、他の一般のエフェクターと同じように電流の800mAがあれば9Vで動くんだなどうせデジタルだしと思っていました。たしかに他のものと同じように接続して起動し動作も問題ありませんでした。ふと18Vでも動作するとはどういうことかと付属のACアダプターを見ると18V、1,2Aとなっています。18Vの方が音が良いのではと付属のアダプターを繋いでみましたが音が驚くほど変わりびっくりしました。

デジタルだからそんなに変わらないと思っていたのですが、18Vにしたとたん、レンジが広くなり、解像度上がり、膜が取れたようにクリアになりました。私はキクタニのKRP-001バッテリーを使っているのですが、キクタニのこれはアイソレートされてないものの18V,450mAが出力できるすぐれものです。これを使っても解像度が上がりますが、レンジの幅が若干落ちます。12V 1Aも試してみましたがやはり、18Vより更に落ちます。Hotoneに問い合わせたら18Vの際も800mA必要と言われました。キクタニを使うなら2台でボルテージダブラーケーブルを使う必要があります。どうもアンペロは付属のアダプター使用が必須のようです。一旦これを聞いてしまうと便利だからと9Vで代用することができません。

性能的にはサンプリング周波数が落ちることから音質が他のものより落ちると思っていたのですが、他のものにはない18V稼働(内部は24V)でHX Stompより音が良いという評価を作っているのだろうなと思いました。他のエフェクターと同じ扱いをして9Vで接続してしまいアンペロの真の音を知らないで評価している人も結構いそうです。

少なくともフットスイッチは必要かと思います(純正を使う必要はありませんでした)が、エクスプレッションペダルを使わなければかなりの省スペースになるかと思います。あとは価格の問題ですがこれだけ多機能だと私はこれを薦めますね💦

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