【低予算】百均ブザーで本格的コンタクトピックアップを作る

 コンタクトピエゾピックアップに不満

ヤフオクやネットで販売しているコンタクトピックアップをいくつか試してみたのですが、ギター預かりで個別に取付けてくれるショップ以外の自分で購入して取付けるタイプのコンタクトピックアップはどれも満足いくものはありませんでした。そのため自分で情報を調べて見様見真似で作成して取付けて見ましたが予想外に満足のいく結果となりました。低予算で作れますのでその様子をあげてみたいと思います。

私が経験した機材

M-factoryやアンフィニカスタムワークス、そしてTidemarkなどのギター預かりで専用にとりつけてくれるメーカーさんを経験しています。しかしそれ以外では満足のいくものはありません。特にどの点に問題があるかというと

ハムノイズが出る
コンタクトピックアップはピエゾ素子に二本の線をはんだ付けするだけという基本的にはそれだけで音を拾ってくれるシンプルな構造ですが、シールドで覆いノイズ対策をしていないとハムノイズが生じます。

市販されているピエゾピックアップ
上の写真は市販されているものの一つですが、ピエゾ素子に線をはんだ付けしてエポキシ接着剤で覆っただけのタイプです。これでも音は出るのですがシールドしてないのでハムノイズが出てしまいます。

ハウリングに弱い
ノイズ対策よりピエゾ素子を大きして出力を上げる方法がありますが、ピエゾ素子が大きいと振動に弱く共振やハウリングを起こしやすくなったり雑味が多かったり低音がブーミーになったりします。

上記の点を改善するために自分で低予算で試作という事で作ってみることにしました。すでにデュアルピックアップシステムを作っていますのでコンタクトピエゾのみの入れ替えです。

YouTubeで作り方が公開されていましたのでこの動画を参考にしてみました。素材やサイズなどいろんな要素は適当に私の方で補完して(笑)試作という事で。最近は一般にピックアップはLRBaggsのアンセムが良いとかに落ち着いていますが、叩きを入れた演奏ではアンセムでは仕様上重低音はでないので思うようにいかず、コンタクトピエゾを使ったピックアップが今でも求められていると思います。

コンタクトピエゾに必要なもの

百均のブザー(ピエゾ素子が入っているもの)

防犯ブザー

薄い木の板(ホームセンターで厚さ3mm程度)

スプルースに近い栂(ツガ)

エポキシ接着剤(透明タイプ、百均で調達可)
アクリル三角棒(ホームセンターで3mm幅のもの)

アクリル三角棒

銅箔テープ
はんだ付けのセット
シールド(今回は家にあったBelden8218を使用、mogamiの2520がいいらしい)
RCAプラグ(tomoca JS-65とかそんなやつ)
両面テープ(ニトムズ)日東 再剥離可能強力両面テープNO5000NS 15mm×20m 5000NS15

どれもそれほど高くありません。はんだ付けのセットさえ家にあれば2,000円程度でそろってしまいます。

百均ブザーを分解
ダイソーにて購入しました。中を開けてみるとたしかにピエゾ素子が入っています。

百均ブザー
一般には台座が真鍮で出来ているものが多いようですが、これはアルミ?ブリキ?の台座でいかにも安づくりという感じです。お試しなのでこれを今回使いましたが、村田製とかの方がよいかもしれません。サイズ的には20mmか27mmがいいみたいです。
ピエゾ素子は切って小さくする
専門に作っているプロはほとんどピエゾ素子を切ってサイズを小さくしています。おそらく素材の共振とかを恐れてかと思いますが1センチちょっと幅で切ってしまいます。

薄板に取付け
今回ホームセンターで厚さ3㎜の栂(スプルースに近い)板が入りましたのでこれを切り取ったピエゾのサイズに合わせて切り、これをピックアップの台座としてエポキシ接着剤で接着します。
板に塗ってその上に載せました
ピエゾ素子にはんだ付けをする
最初についていたリード線は切り取り、今回ベルデン8218をはんだ付けしました。中央のセラミック素子とその周りのアルミ板にはんだします。このベルデン8212はソルダーレス用のパッチケーブルとしての評価が高いものですが、しっかりとした造りで柔軟性はあまりありません。柔軟性を求めるならmogamiがいいかと思います。
はんだ付けしたところ
セラミック部の上にエポキシ接着剤を載せてコーティング
上から銅箔テープでシールドしますので中央のセラミック部と接触しないようエポキシ接着剤を厚く塗りコーティングします。あとではんだ付けする先端のアルミ?の金属部分には塗らないように注意します。
セラミックをコーティング
銅箔テープでシールド
銅箔テープで上面をできるだけしわにならないように貼りますが先の部分はアルミ部と銅箔をはんだ付けしますので先のアルミ部は少し隙間を開けます。そしてアルミ部と銅箔部をはんだします。
銅箔完了
アクリル三角棒を底面に貼る
アクリル三角棒を台座の幅に合わせて切り、エポキシ樹脂を塗って並べます。
アクリル三角棒
これはスピーカの下にしくインシュレーターのような役割で振動でギターの表板とピックアップが共振しないようにしたり、雑味を少なくしたりと思われます(違っていたらすみません)これでハウリングに強くなるという事でしょうね。

エポキシ樹脂を塗って全体をコーティング
後は全体的に補強を含めて銅箔テープの上からエポキシ樹脂を塗ってコーティングし、三角棒は紙やすりで高さを半分くらいに削ってしまいます。
紙やすりで三角棒を削る
RCAプラグをはんだ付け
デュアルシステムに組み込むためにベルデンの反対側にRCAプラグを取り付けます。
RCAプラグを取り付けて完成
完成した全体像の写真を撮るのを忘れました・・・もうギターに取付けてしまいました。取り付ける場所は試行錯誤が必要でしたが、取り付けたギターは場所がわかっているのですぐに取り付けました。ちなみにその過程は過去の記事DIYでアコースティックギターのデュアルピックアップ取付3にあります。

取付けた結果はどうだったか?

上記の二つの問題は解決されました。まず、シールドが効いてハムノイズは全くありません。S/N比がすごくよくなっています。
動画を録りました。完全に死んだ弦を張った状態ですので音はそんなに大したものではありません。
隣の部屋でギターを弾いてPAスピーカー前にスマホを置いて撮っています。つなぐ順番は自作ピエゾ→プリアンプ(Tidemark Impless conc)→PAスピーカーです。ボディヒットが重低音になって出てますね~💦これをスピーカー前で弾いてもハウリングが起きませんでした。試作品という事でざっと作ってみたのですがそれでも過去のネットで購入した製品よりもずっと良いですね。それにしても試作の一回目でこれだけ十分なものが作れるとは思いませんでした。百均ブザーで(笑) ピエゾのサイズがちょうどよかったのでしょうか?栂が良かったのか?原因不明です。

プロはさらに素材を厳選し、弾き手のスタイルに合わせてカスタマイズしますのでさらに素晴らしいものが出来ると思いますので完璧を求める場合はお願いした方が良いかと思いますが、低予算でも良いものはできるという事がわかりました。後はピエゾ素子の質を良くしたりサイズを変えてみたり薄板の材質を変えてみたりと色々試してみればもっと求めるものが出来ると思いますが、今回はこの程度で。

【追記】2024.5.18
ムラタのピエゾ素子でもう一つ作ってみました。百均のものよりは少し質が高いと思われる日本製のピエゾ素子です。
日本製ピエゾ
明らかに造りがよいです。これはブザーから取り外したものですがブザーとして音量を変えられるようになっているのか中が区切られています。これを両方にはんだ付けして使うことにしました。

自作コンタクトピックアップ
音出しして比較してみましたが音質的に日本製が優れているという差は見られずどちらも素直な音が出ておりどちらも十分使えるように思います。今後耐久性の違いなどは出てくるかと思いますが、今回は百均ブザーでも大変よい結果だったと思います。
こちらで作成したコンタクトピエゾはYAMAHA FG180に瞬間接着剤で取付けました。大変いい結果となりました。

ただし、これ単独では音量的に不足がありますのでこの方法を取る場合はよいプリアンプに接続して使う事が必須です。

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