Xoticオイルジェルを使ってOOO-28ECをリフィニッシュ(後半)

いよいよ試行錯誤のギターの塗装へ

Xotic Oil Gel

ギターをDIYでリペアするときに難易度の高い塗装ですが、エキゾチックのオイルジェルを使えば比較的容易に塗装が可能になります。エレキの塗装、ネックの塗装の記事をよく見ることができます。アコギにはあまり使われてないのかもしれません。

XOTIC/XP-OG1(Xotic Oil Gel:60ml)【エキゾチック】

Xotic Oil Gel

オイルジェルのメリット

工具が最小限に済み特殊な技術が不要
必要なものはオイルジェルときめの細かい古Tシャツと400番と600番の紙やすりだけです。Tシャツはできるだけ肌触りが良くきめの細かいものを使います。刷毛塗もできるのですが、刷毛による凹凸が平らになる前にオイルが固まってしまうため凹凸が残ってしまいます。きめの細かい布で薄く塗ることによって仕上がりをグロス仕上げまでもっていくことができます。特にコツもなく布に油をとり薄く塗るだけです。乾燥によるオイル痩せが少ないので穴埋めもできシーラーなどの塗料もいりません。

塗装時の臭いが少ない
オイルの臭いは「カメムシの残り香+魚油」に近いです。ナチュラルで刺激臭はなくラッカー塗装に比べれば無臭といっていいほど少ないです。室内での作業も問題ありません。手に油がついてもすぐに落ち臭いが残ることはありません。

仕上げの調整が簡単
使用する場合は厚塗りはせず布に油をつけて薄くのばして塗るのですが、塗る回数によってサテン仕上げからグロス仕上げまで調整が効きます。

乾燥が早く短時間で仕上がる
油を塗ったときからすぐに乾き始めます。一度薄く塗ってから次の塗装まで4時間くらいで済みますので1日に4回くらい塗ることができます。大体3から4日くらいで室内で塗装が仕上がるというのは今までの塗装は時間がかかるというイメージを覆されます。

メーカーさんの使用説明書

オイルジェルのデメリット

塗装が薄いので傷がつきやすい
一般の塗装に比べれば薄く仕上がりますので木地に傷がつきやすいと思われます。塗膜はできますが、ウレタンのようには強くはなさそうなので落下させたときのダメージが大きいかもしれません。

薄く塗るのが基本なので思ったより時間がかかる
もっと早く仕上げたいと思う人からすれば重ね塗りを10回以上することになるので思ったより時間がかかるのかもしれません。

製品レビューでは使用説明書どおりに使用する人の意見は少ない(笑)

上記に使用説明書を載せてみましたが、製品レビューでは「私はこの通りにしました」という別のやり方を載せている人が多いですね。私も説明書通りに行った感想としては「木地が傷無くフラットに調整された場合に有効」で、そうでない場合はフラットな塗りは難しいでという事です。また「薄く塗る」という薄さがどれくらいなのかわからず、単に布に油を含ませて塗るのを繰り返すだけでは凹の部分は埋まらずフラットな塗りにならずグロス仕上げは難しいと思います。

スクレーバーでオイルを塗る

まず布にしみ込ませて木地にオイルを塗りこむ作業を4時間間隔で2回ほど行い、あとはオイルをスクレーバーで広げながら塗る方法を取りました。

オイルを垂らしたところ
オイルははちみつより薄い若干の粘性がありますが、スクレーバーで広げるとよく広がっていきます。
スクレーバーで広げていく

この方法だと布にオイルが吸われないので経済的ですね。後はしばらく置いておいて乾く前に布で凹凸を無くすように拭いていきます。しかしリフィニッシュではやすりで均しきれない凹凸の場所がいくつか出てきてフラットな状態を作り出す障害となります。ここをどうやって均一にするかしばらく試行錯誤しましたが凹凸のあるところは筆などでオイルを少量取りその場所に置いていく感じで乾く前にラップで巻いた布で決して塗り広げず上下にトントンするかんじで軽く均していくと平らに埋まっていきます。この方法は塗ったところとそうでない所の境を無くしていくことができますので後は乾いた後に粗目・細目・極細目のコンパウンドをかけていくとフラットになります。この方法は便利でたとえ傷ができてもすぐに補修が効きます。傷補修にもこのオイルは使えると思いました。

塗り終わったところ
オイルにはあまり色はついていませんが塗ってしまうと若干飴色がついて良い感じになりました。あまり厚くオイルを塗らずとも自然な光沢が出る仕上げが可能です。

ピックガードの作成

ピックガードを剥がすには布を当てた上にアイロンを載せて温め、スクレーバーを差し込んで剥がすのですが力を入れすぎてひびが入ってしまいました。今回同じものを作成することにしましたが、OOO用のピックガードは販売されていないのでフリーサイズを購入し同じサイスを切って使用することにしました。

アマゾンでフリーサイズの価格の安いものを購入してみましたがこれが酷いものでした。

アマゾンで購入したピックガード?
この製品には購入者のレビューや写真も載っており、中国製とは言えども私も何度か購入したことのあるメーカーだったので問題ないと判断したのですが、届いたのはビニールシートといった方が良いペラペラのものでした。商品には厚さ0.7mmと書かれてありましたが届いた者は0.3mmくらいの柔らかいものですぐに傷がついてしまいます。商品説明が違うという理由で即座に返品、ちゃんとしたメーカのものを購入しました。中国製はどれも同じ粗悪品に見えて購入する気になれません。
SCUDのフリーサイズピックガード
SCUD ( スカッド ) / F-PGRT

上記写真の左側のものが今回取り外したものです。このSCUDのピックガードは質も純正とほぼ同等でした。純正を上にのせて型を取りハサミで切り取り端をやすりで面取りします。

ピックガードを張り付けて完成
前の傷だらけに比べればはるかによくなりました。

オイルジェルを使用してみた感想

使用方法になれるのに時間がかかりました。もっと要領がわかっていればオイルの量は少なく済んだと思います。試行錯誤して2本以上使ってしまいました。バック板も塗ったのですが、ローズウッドの導管にオイルが吸われてしまうのでグロスフィニッシュにはより多くのオイルが必要になります。私はサテンフィニッシュで妥協しました。

出音の比較

今回新たな試みとしてブレイシングを削って音を調整するという方法を取ってみました。あるプロの方の特注のギターの話の中に、そのギターを作ったルシアーさんがプロの方の要望に合わせてその場でブレイシングを削って調整したという話を思い出しました。アコギの音質調整にブレイシングを調整するのは有効で狙った通りに調整ができるのだという事なのですが、ネット調べでは確かにブレイシングを調整する方法が出ています。

このOOO-28ECは低音があまり出ないのが不満なのですが、ユーザーにはおもったより低音が出たよというレビューをしているものもあり、意外と調整が効くのではという目算があったのでネット情報通りに紙やすりで6弦側のブレイシングをなでるようにして少し削ってみました。その結果のデータを比較してみます。
塗装を剥がす前

塗装を剥がした状態

再塗装・ブレイシング調整後の状態
塗装前と塗装後を比較してみると特性の頂点の周波数が

塗装前754Hz→塗装・ブレイシング調整後732Hzへ
塗装前211Hz→塗装・ブレイシング調整後189Hzへ
塗装・ブレイシング調整後100Hz前後の音量がアップ

と変化が起こりました。明らかにギターの音質が低域寄りになっています。80番の紙やすりでブレイシングを大体20回こすりぐらいした結果です。またその影響なのかはわかりませんが、高域が20kHzまでしっかり出るようになり音量がさらにアップしています。こうなってくるともう別物のギターというしかありません。軽いタッチで鈴鳴りギターの誕生です。
他のギターとの比較動画を作りました。Griffithギター、YAMAHA FG180、OOO-28ECの順で弾いています。音質が下がりますがご参考までに。

今回のまとめと感想

マーティンギターを自分でリフィニッシュしたと言うと周りからドン引きされました(汗) 今回の結果は「これが本来のお前か~」とギターが別物のように変わり非常に大きなアップデートとなりましたね。ブレイシングの調整をして感じたことですが、ブレイシングの重さで音が変わるとするとそこがギターの個体差に繋がるのではないかという事です。ブレイシングの作成は手作業で削り出しですし、特にOOOみたいなスキャロップドブレーシングはノミの使い方によってばらつきが生じやすいでしょうし手作業による個体差が大きいのではないかと推測します。その違いが良く鳴るギターと鳴らないギターとの違いを生み出しているのではと思いましたがいかがでしょう。




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