YAMAHA FG180にデュアルピックアップ取付&リペアを終えて

YAMAHA FG180のリペアは最終段階 

このギターはよく弾かれていたがピックアップはついていない

前回からネットで手に入れたYAMHA FG180のリペアを行ってきましたが、ピックアップがついていないのでこの度取り付けることにしました。表板が痛むほどよく弾き込んだギターでしたが人前で演奏するときはマイクを使ったのでしょうか。どうやってこのギターが使われたのか興味が湧きますが、とりあえず人前で使用するためにピックアップを取付ます。思いつくままにやっているだけですのでご参考までに。

ピックアップの選定

デュアルピックアップの代表的な取付方法の一つであるマグネットピックアップとコンタクトピエゾの組み合わせをします。マグネットピックアップは以前に取り上げたAmumuを使います。見た目、性能がよい割に価格が安くて自分でデュアルシステムをするのに使いやすいです。RCAプラグに加工済みです。エンドピンボックスとマグネットピックアップを接続するケーブルを作成します。RCAプラグとRCAジャックを両端につけます。ケーブルはBelden8218を使いました。コンタクトピエゾはアマゾンで見つけたBelcatです。

Belcat ベルキャット ピエゾピックアップ ギタートランスデューサー/シングル BGT-2000

Belcatコンタクトピエゾ
この製品はピエゾに金属のシールドを施しているのが特徴で、扱いやすく外部からのノイズに強いようにできているように思いました。外付けで使うようになっていますが、これは内蔵でも行けそう。早速取り寄せてRCAプラグに交換します。交換ははんだで取付けます。
RCAに交換
使用してみた結果としては出音は良かったのですが出力がやや低くハムノイズが目立ちやすいため今回は採用しませんでした。もしかしたら不具合品かもしれませんが。今回は別のヤフオクで手にいれたコンタクトピエゾを使います。こちらの方が出力が大きくハムノイズをほとんど感じず良かったです。

使用した貼り付けピエゾ

エンドピンボックスの作成

パーツをマルツオンラインで購入しエンドピンボックスを自作します。エンドピンジャックを別途購入しましたが、おすすめはMONTREUX ( モントルー ) / 4 Conductors Endpin Jack Nickelです。

モントルーを使った場合の様子
SCUDもありますが、エンドピンボックスを作成するにあたりナットの数が足りないんですよね。長さも少し短いし。モントルーは4pinでステレオ対応をうたっています。
これはSCUDです。ナットが足りない!
RCAジャックやエンドピンジャックが緩んで異音を出したりするのでブチルゴムなどを間に挟んで防振対策をした方が良いかもしれません。エンドピンジャックはワッシャーを挟んで二つのナットで固定します。
完成
アースのはんだがきちんと出来てないと大きなノイズの原因になりますのではんだの出来をよく確認した方がいいと思います。RCAジャックに目では見にくい少量の余分なはんだがシールドと信号端子をつないでしまい、原因不明のノイズが生じて後で気が付くのに苦労しました。

アコギのボトムの穴をあける

ヤマハのエンドピンはペンチで引っ張ると簡単に抜けました。ピン周りを紙テープで養生し12mmの木工用ドリルをドライバーの柄に取付けて手回しであけます。適当にやると入口が割れます。
穴あけは慎重に

エンドピンボックスの固定

滑り止めワッシャーをかましてエンドピンボックスをギターの内側から通し、外側に出た径が小さい部分に径が小さいワッシャーとナット、そしてリングを回して固定します。ギザギザが突いた滑り止めワッシャーがないと内部でくるくる回ったりナットの緩みにつながります。最後のリングを付けた後、ステレオシールドがかちっと嵌るかどうか確認をします。ここが短すぎるとかちっと嵌らず原因不明の接触不良に陥ります。

配線

ピエゾピックアップの取付け位置なのですが、何回かやっていくと大体どのあたりが良いかがわかってきました。
ピックアップ配線

表板にピエゾを貼って位置を変えながらギターの音を聞きながらもっとも自然に聞こえる場所を探します。二つの磁石をはさみブレーシングの場所をさけて位置を探します。

ピエゾの場所を決定

Xブレーシングのボトム側のブレーシング傍あたりがピエゾの音が自然に聞こえる場所に感じます。いくつか候補を見つけます。実際に表板に貼った音と出音が違う事もありますので候補をいくつか試します。3,4弦の音が強調されると良くない出音になりますね。後は上記の図の通りに配線します。両面テープは日東電工を使用しました。この場所が悪いと後でイコライザーで修正が必要になり、結果出音を悪くします。

弦アースはブリッジピン穴の下に銅箔テープをリード線と一緒に貼り、上からピン穴を開け弦のエンドボールが銅箔に接触するようにします。リード線の反対側はエンドピンボックスのネジに一緒にねじ込みます。今回はピエゾの出力が大きくノイズが目立たないため設置しませんでした。

あとはマグネットピックアップをつないで完成。弦を張り音が出るかどうかを確認します。「バチバチ」とか「バリバリ」とかノイズが出ればアース関係のはんだがちゃんとできていませんのではんだを見直します。余った配線は両面フックを側面に貼りひっかけて固定します。

デュアルシステム用プリアンプ

デュアルシステム用のプリアンプは高額ですが、その中で比較的手に入りやすくて音質がよいものとしてTRIAL トライアル/プリアンプ/DUAL INPUT PREAMPが一択だと思います。ステレオになったシールドでつなぎますがCANARE ( カナレ ) / SPC03 ステレオフォンケーブル BLACKが最も無難です。物足りない場合はモガミのケーブルややノイトリックのプラグを使って自作します。

インパルスレスポンスの作成

ピックアップのスピーカーから出す音をよりマイクで拾ったようなバランスに近づけるためにインパルスレスポンスを作成しIRローダーの機能をもつ機材にアップロードします。「IRローダー」で調べれば出てきますが、デュアルシステムをそのままミックスして出力する場合は単体のIRローダーでいいと思いますが、デュアルシステムを生かす場合はLine6 HX STOMPやBOSS GT1000CoreやAmpero2Stompなどが必要になります。マイクでギターの生音とピックアップの音とを録音し、差分のIRを作成してIRローダーにアップロードします。方法については過去の記事に詳細を載せています。

IRを使用すると生の信号を大きく変えますので若干のみずみずしさは失われますが、聞きやすく最適なバランスに変わります。

YAMAHA FG-180のリペア終了と感じる事

以上で終了となりましたが、表板の傷みがひどくて色を塗ってしまった事以外は大体予想の範囲だったと思います。

ネックリセット→12F6弦3.5mmが2.2mmに変更
指板R調整→20インチを16インチに変更
フレット打ち直し→ステンレスフレットに変更
表板リフィニッシュ→表板を塗装
ナット・サドルの変更→新たに作成、弦間のピッチを調整
ペグの交換→ペグを変更
ピックアップ取付→デュアルピックアップに変更
剥がれかけてピックガードの貼付け→傷直しして貼付け

こんな事自宅でやったことがない人ができるの?と去年までは思っていましたが、調べて考えてみれば出来ちゃったりします。これよそで頼めば30万くらいするかも・・・

あくまでも自分で弾いて楽しむプレイヤーズコンディションレベルの作業です。とても売り物になったり、見せびらかすようなレベルではありませんのでご注意を。データの質を落としてのアップです。他のギターとの音の比較です。YouTubeに上がっていた方のコード進行をコピーさせていただきました。
ストローク演奏の際、鳴るので気持ちよすぎで力強く鳴らした結果音が暴れてしまいます。動画は音が暴れないように抑え気味で弾いてみましたが、とにかく大きな音で鳴ります。動画はFGだけマグネットピックアップの装着で音量が抑えられていますが一番大きな音がします。また低域もあり音のレンジが広いですね。
アルペジオ中心のソロギターを弾いてみました。ネックが細目で指がまだ慣れてないので演奏自体はおぼつかないですが、アルペジオも音がしっかり鳴ります。このギターは普通にアルペジオを弾いただけで透明感があり、そしてどこか切ないようなヤマハらしいきれいな音が出ます。録音にもよさそう。こんな音はたぶん購入した金額では得ることができないですね。

注意点

弾きやすい状態の良いYAMAHA FG180に出会えるのは10本に1本あるかないか、というプロの方の意見が出てました。店を回って探した結果がそうなのですから日常で見つけるのは困難なのでしょう。状態が良かったとしても弦間が狭いということ、指板のアールが小さく慣れないと弾きづらいということなどから相棒にするには難易度が高いかもしれません。状態が悪くても自分でリペアして良い状態にして使うというのが早いかもしれません。

完成。リペアのし甲斐がありました!

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