3 Sigma Audio のアコースティックギターのインパルスレスポンスを試す

有料のインパルスレスポンスを試したらどうなるか 

このブログでは、アコースティックギター用のインパルスレスポンス(IR)を自作するという他では見られない試みをしていますが、有料IRはどうなのかということで、今回3Sigma Audioのインパルスレスポンスを試してみました。その結果、さすがに良く作られていると感じました。

IRローダーであるAmpero2 Stompにもアコースティックギター用のIRが備わっているのですが、特徴は捉えられているものの、極端に音が変化してバランスが悪く、使いにくいものが多いように感じます。アコギのボディサイズに合ったIRデータでなければなりませんが、そもそもそのボディサイズに合ったIRデータが1つか2つしかありません。これではアコギとピッタリ合うIRにはなりにくいです。IRデータを自作すると、試行錯誤を重ねていくつもIRを作って試すことになります。1つか2つですぐに合うものを見つけるのは難しいと思います。自分のギターに合ったIRを見つけるのは試行錯誤と多くのデータが必要です。

無料IRをいくつか試す

無料で手に入るIRといえばAcoustic IRです。ここでも多くのアコースティックギターのIRデータが手に入ります。私もここでいくつか試してみましたが、質が今一つと感じます。IRプラグインには使えるかもしれませんが、IRローダーに入れてライブで使用するには難しいと思います。他の無料配布サイトのIRも試しましたが、情報量と質に問題を感じました。試しに使ってみるのも良いかもしれませんが、合えば本当にラッキーだと言える程度です。

一度だけ試した有料IR

有料IRは一度試したことがあります。PastToFutureReverbsのIRです。比較的安価で、様々な高級マイクでモノラルとステレオのデータがあり、サンプルレートも豊富です。これはサンプルサウンドも聴けるので、IRがどんなものかを知ることができます。音量的にもしっかりした出音で、データの質も良いと思いますが、バランスが手持ちのギターと合わず、ハイが強調される感じがします。IRのデータの周波数特性をいくつか見ると、バランスの悪さを感じるものもありました。そこで、現在はMCabinetでEQを修正して使用しています。

バランスの悪いPastoFutureReverbsのIRの周波数特性の例(青線)

3 Sigma AudioのIRを試す

評価が高い3 Sigma AudioのD-45のIRを試すことにしました。私が購入した時には15ドル(約2300円)でした。購入手続きをするとすぐにZIPファイルでダウンロードされました。ファイルの構成は購入して初めて分かるので、ネットで事前に分かれば親切だと感じました。

Standard IRと3 Sigma IRの2種類のIRの構成

  • Standard IRは通常の短いwavファイルで、こちらを使用します。

  • 3Sigma IRはオリジナルプラグインで使用するDTM用のファイルです。

4つのサンプル周波数データ

  • 48, 96, 88.2, 44.1Hzの四つのサンプル周波数データが準備されています。IRローダーによっては使用できるサンプル周波数に制限があるので、事前に確認が必要です。

有名ピックアップごとのデータ

一般に知られているアコースティックギター用のピックアップに合わせたデータが用意されています。これならばアコギに合うデータが見つけやすいです。有名ピックアップの例として、以下のものがあります:

Fishman Rare Earthシリーズ
Duncan Mag Mic
LR Baggsシリーズ
K&K シリーズ

他にFender、Taylorなど一般のピエゾ、シングルコイル、ハムバッカーのデータもあります。興味深いのはマグネットピックアップ用のデータが多く含まれていることです。各ピックアップのデータの豊富さが他の有料IRよりも優れているところでそれだけ自分のギターのピックアップに合うIRを見つけやすいと思います。

有名マイクによる集音

  • Neumann KM184

  • Neumann U87

  • Neumann U47

  • AKG C414 XLS

  • Manley Reference

  • Rode NT1

  • Joe Quick Modern/Vintage(3Sigma Audioのカスタムマイク)

それぞれのマイクで集音されたデータが収められています。

周波数特性が良さげ

  • IRファイルの周波数特性を見ましたが、極端なものはなくフラットでバランスの良さを感じました。これならどのギターにも合いそうに思います。

3 Sigma AudioのIRファイルの周波数特性の例(青線)

試した結果感じる事

  • EQ調整せずともそのまま使える

  • IRの出力はちょうど良い

  • ボディサイズの違うギターにも使える

  • ボディのレゾナンスも収録され再現される

  • 高域の倍音は思ったより少なめなため、D-45の再現性についてはよくわからない

さすがに有料IRは質が高く、調整されているのがわかります。ボディサイズが違うギターも適用すると、ちゃんとドレッドノートのバランスに変わります。PastoFutureReverbs(PFR)と比較した場合、データの波形に見られるように、PFRは高域で激しく波打ち、倍音のデータが詰まっていて、45らしさがわかりやすいです。一方3 Sigmaのデータは高域はそれほど倍音データはないものの確実に即戦力の結果を出すバランスの良さが感じられますね。

3 SigmaのマグネットピックアップのIRを適用しましたが、音量が下がってしまいデュアルピックアップには使えない感じがしましたが、DuncanやFishmanのレアアースのデータを少し圧を上げてやると音量が上がり、デュアルピックアップでバランスよく使える状態になりました。マグネットにもIRがしっかり効きますね。

Line6用には別のHelixのIRデータがあるみたいなので、お持ちの方はそちらを確認してください。

結論

3 Sigma Audioのアコースティックギター用のインパルスレスポンスは元のギターを完全に再現するまでには至りませんが、どのタイプのギターにも効き、しっかり結果が出るデータを揃えていると感じました。データ量が多いため、合ったものを見つけるのには時間がかかりますが必ずピッタリなものが見つけられると思います。他にもD-28やD-18などのデータも購入して、いずれ試してみたいですね。

にほんブログ村 音楽ブログ アコギへ
にほんブログ村

【関連記事】

0 件のコメント :

コメントを投稿

にほんブログ村

PVアクセスランキング にほんブログ村