お金をかけず素人がアコギのフレット交換してみた2

 先回自分でアコースティックギターのフレットが交換できないかと挑戦してみましたが、なんとか出来そうだったので今回Martin OOO-28ECのフレットを交換してみました。このギターは以前ネックリセットもやったこともあってネックはほぼ真直ぐといういいコンディションでした。

フレットを抜く

フレットの端っこをニッパでつまんで持ち上げる
フレットには打ち込んだ際に接着剤などが入っているかもしれないという事ではんだごてで温めてから抜く事もありますが、今回はニッパで端っこをつまんで持ち上げ隙間ができたところに食切りを入れて抜くという方法を取りました。
食切りを横に少しずつ入れてゆっくり抜く
食切りは前回アマゾンで購入したものをそのまま使いました。ニッパで隙間を作る作業を慎重に行い少し浮かすことができれば食切りで抜くのは簡単です。食切りで上に引っ張ると指板が欠けますのでゆっくり行います。
全部抜いてみたところ ボロボロですね
どんなに慎重にやってもフレットに返しがついているので指板が欠けてしまいます。フレットを入れると隠れる部分以外の見た目に目立つところはエボニーの粉を作り穴に埋めて瞬間接着剤を流し込んで埋めていきます。
瞬間接着剤を流し込んだところ
接着剤が固まったら紙やすりで軽く均します。フレットの溝にも接着剤が入り込んでしまいますので再び溝を掘ります。専用の工具が高いのでホームセンターでプラスチックを切る小さなのこぎりがありましたので溝を掘り直します。

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溝を掘り直す
その後指板のラジアスを調べると16だという事がわかりましたので指板のラジアスを専用工具を使い均します。

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チョークで指板に線をつけて全体が均されているかを見ます

専用木片に紙やすりを巻いて指板を均します
長年使用した分指板に凹みもあります。その辺は接着剤とエボニーの粉を塗って凹みを埋めました。溝堀のこぎりで溝があるのを確認します。
綺麗になった指板

フレットを打つ

指板を綺麗にした後、フレットを打ちます。前回のフレットはステンレスフレットを使用しましたが、やはりステンレスフレットは全く減らないので好感触がありましたので今回もステンレスフレットを使用しました。ネックの下に木片などを敷いて養生します。JESCAR フレット #43080-NS  W2.03XH1.09(147) を使用しました。
プラスチックハンマーを使用
上記の写真のようにプラスチックハンマーを当て、上から鉄のハンマーで打ちます。今回はそんなに幅の広いものではなかったのですんなり入りました。端っこの部分は他方を軽く跳ね返らないようにもう一つのハンマーで抑えながら少し曲がる程度に打つと端っこも入ってくれたと思います。
フレットを打ったところ 端っこを打ったので曲がっています
食切りではみ出たフレットをカットします。ハイポジションの部分は指板を傷つけやすいので注意してカットします。
フレットの端を専用工具で削ります
フレットの端を綺麗に仕上げるために今回専用工具を使いました。これは楽にフレットの端っこを仕上げてくれるので便利でした。調子よく削っていくと端っこの木材も削ってしまいましたが、手に引っ掛かることともなくきれいに仕上がりました。

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思ったよりうまく行きましたね
フレットの溝で掘りすぎた部分は隙間ができてしまいましたので後でエボニーの粉とタイトボンドを混ぜて隙間に流し込んで仕上げました。またフレットの隙間に瞬間接着剤を流し込んで浮いてこないように固定させました。

ナットの自作

平面を出す工具 ナットの下を平面に仕上げます
ECのナット幅は44.5mmと少し広めのため汎用のナットが販売されておらず今回はどうしても自作する必要がありました。ミニ万力で牛骨を固定、ヤスリで形を整形します。
平面を出す工具
今回最も重要な部分のためにナットやサドルの平面を出す工具を使いました。牛骨ナットを挟んで紙やすりの上をゴロゴロと動かします。なれるのに少し時間がかかりましたが綺麗に平面が出ました。

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ナットファイル
今回最も高くついた工具がナットファイルです。弦ごとにそれぞれのヤスリを掛けます。こればかりは代用品を見つけることができませんでしたが、大変便利で問題なく難しいナットの作成を仕上げることができました。これは必需品と認めざるを得ませんね。サドルは汎用品を使いましたのでナットの自作が一番時間がかかりました。ある程度の形を作り、弦を張って1フレット上の高さを目視しながらナットの溝を掘っていきます。ネックヘッドの角度に合わせて溝を掘り、その後さらに角度を大きくしてナットの一部だけが弦に接触するように調節します。

フレットの調整

ナットとサドルが決まれば弦を張ったまま音出しをしてビビリと音詰まりのある個所を調べます。ビビリのある場所付近にプラスチックカードでフレットの3点を当てて高さが高い箇所を見つけます。カタカタとカードが動く箇所が問題があるので高い部分をヤスリで均します。ビビリがなくなるまでこの作業を繰り返します。指板のラジアスのヤスリがけがうまく行っていればそんなにビビリは出ないのではと思います。

仕上げ

ナットは瞬間接着剤で固定、サドルはできるだけのオクターブ調整、ヤスリで平らになったフレットは山になるように調整します。またはみ出た接着剤をヤスリで取り除きます。今回は全体的に傷がある部分に瞬間接着剤を載せて乾いた後に1000番の耐水紙やすりで平らに水伽します。
水伽して平面にします
凸を平面にするのに結構時間がかかりましたが、へこんだ傷もきれいになりました。ギター用オイルで全体を綺麗にすると何とか形になりました。
完成~ よくやった(笑)

早速試し弾きしてみましたが、爆音で鳴りますね~ピックで強い入力を与えると強い出力で返しますが、指弾きなどの若干弱めだと弱い音になるんですよね。基本しっかり弾かないと鳴らないギターなんですよね。ビンテージの箱鳴り感が強く、プレーン弦は鈴鳴りでメロディを奏でる、いい音がしますね。このギターネックも真直ぐだしお腹もまったく出ておらず6弦上が弦高2mmといいコンディションです。フレットもステンレスフレットになったのでまだまだ活躍しそうですね。

今回のリペアで感じる事

プロに依頼すれば高額になるリペアを何とか自分で行うことができましたが、ブリッジの既製品が使えた事、ネックが真直ぐでギターの指板の両側にバインディングがなくリフレットの作業がやりやすかった事で面倒な作業が少なかったのはラッキーだったと言えます。フレット交換は以前に経験があるため回数を上げればどんどん綺麗に仕上がるような感じがしました。

最も大変な作業は牛骨から削り出しのナット作成作業、傷を治すための研磨作業でしたが、平面を出す工具、フレットの端をそろえる工具、ナットの溝を掘る工具など特殊な工具をそろえると作業がさらにやりやすいのを感じました。


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