エレクトレットコンデンサマイクを使ったアコギ用ピックアップの自作

ヤフオクで購入したアコギ用マイクで思うこと

以前はピックアップに付属するマイクは使えないと思いこんでいましたが、先回の記事で購入したアコギ用内蔵マイクを使用して感じたメリット・デメリットです。

ヤフオクで購入したギター内蔵用マイクセット

メリット

〇返しが生音に近いニュアンスの音で出力してくれるため弾きやすい
〇ソロで弾く限りではそんなにハウリングを起こす事がない

という点で思ったより使えることがわかりました。特に音質面で従来のコンタクトピエゾにはない部分では

〇ギターの内部の反響音を伴った厚みのある音
〇輪郭が少しボケた優しい音で高音部が「ジャリジャリ」とした痛さがない
〇偏り無くボディの打音を忠実に拾う

という点が現在の弾き方の用途によく合っていると思いました。

デメリット

メインの音として使おうと出力を上げるとローミドルの帯域が強くなり、ハウリングを起こします。出力を控えめにしたり、モニターの返しを小さくしたり、イコライザーでカットしたりと事前の調整が必要で、プラグインしてそのまま使えるとは限らない。リハで音出ししないと不安。

結果知ってみると生音に近いという事はニュアンスがきちんと表現され弾きやすく、なんとかメリットを活かしたいと思うようになりました。

内部を分解してみた

分解して内部を見てみましたが、使われているのはECM(エレクトレットコンデンサマイク)と呼ばれるカプセルマイクと1μFのコンデンサだけでCR2032のボタン電池で電源を供給しています。3.5mmのステレオジャックの端子で電源は遮断されていますが、モノラルジャックを挿入することで電源はオンになり、マイクが音を拾って内部のトランジスタでラインレベルの信号に増幅されてマイクの拾った音がシールドを通ってPAまたはアコギアンプに送られるという感じで思ったよりシンプルなものでした。

右側にマイク、左側にコンデンサ

ECMを使った自作マイクは割と知られた話だった

このECMという小さなコンデンサマイクは身の回りではよく使われておりヘッドセット、パソコン、カメラやスマホの外部マイクとしてプラグを差し込むことにより本体から電源を供給して使用できるような仕組みで、部品も安価で(1個数十円あたり)仕組みも単純なため、以前から自作が流行っているようですね。

現行のアコギマイクの問題点

電源の問題

内部に取り付けてもプラグを挿しっぱなしでは電源がずっと供給されたままになり、使いたいときに電源切れを起こすおそれがある。そのため使用するたびに弦を緩めて取り付けたマイクを取外す手間が生じる

出力調整の問題

ボリュームがついてないため他のピックアップシステムと併用して使う場合、出力のバランスを調整することが出来ない。出来たらライブ会場のPA環境に応じて手元で簡単にマイクの出力調整をしたい

問題解決のため改造パーツを取り付ける

マイクとエンドピンジャックを結ぶ配線の間に基板に可変抵抗(ボリューム)とスイッチを取付けたパーツを作成してギター内部に仕込む方法が考えられます。

改造パーツ

自作マイクで問題点を解決

構造がシンプルで安価で作成できるので自分でもアコギ内蔵マイクが作成出来そうに思いました。上記問題点を解決するポイントは

〇マイクのスイッチを付けて電源が入ったことをランプで見えるようにする
〇ボリュームを付け、他のシステムとレベル調整できるようにする
〇コンタクトマイクの接続部を分岐させマイクの信号とコンタクトピエゾの信号とミックスさせる

どのような部品と回路が必要かはこちらのサイトを参考にさせていただきました。

必要な部品は秋月電子などのサイトで取り寄せました。パーツで取り寄せると安いですね。自分でやってみようという気にさせられます。

○マイク部

ECM、基板、スズメッキ線、シールド線、はんだ、マジックテープ(ギター内部設置用)、エフコテープ2号

ECMに直接はんだ付けするのはECMが小さく難易度が高そうなので一度基板につけてからシールド線をスズメッキ線でつなぐようにしました。シールド線はパッチケーブルでよく使用される径が細いベルデン8218を使用しました。シールドと基板の接続部を保護するためにエフコテープ2号(ハーネステープ)が便利です。基板の裏にマジックテープをつけてギターの内側に固定します。マイク部の配置はボディヒットを使用するため叩く可能性ある場所は避ける必要があることを考慮すると、ネックブロックにマジックテープで貼るのが良いと思われます。 パナソニックのWM-61Aが性能が良いとされていたようですが、今では生産されておらず、相当品 XCM6035 がありますのでそれを使用します。

マイク部

○コントロール部

コンデンサ、可変抵抗、スイッチ、LED、3.5mmジャック、基板、スズメッキ線、はんだ、マジックテープ、エフコテープ2号

ECMからのシールド線をつなぐコントロール部。本当はケースに収めた方がいいのでしょうが、とりあえず今回は基板むき出しで裏にマジックテープを張り付けてギター内部に固定いします。コントロール部は使用前に指で操作する必要があるためサウンドホール周りが適当と思いますが、マグネットピックアップを併用する際に邪魔になるためギターの下くびれのサイド板に貼り付けることにしました。スイッチは突起状のトグルスイッチを採用、今回ボリュームは軽くて薄型の10KΩの可変抵抗をリード線で基板から浮かして弦を緩めたり取付機材を外すこと無くサウンドホールに指を突っ込んで操作できるようにします。コンデンサはカットオフ周波数を決めることが出来るので22μF、1μF、0.68μFか試して違いを見てみます。

コントロール部はこんなイメージで(笑)

○システム接続部

RCA分岐コネクター、RCAプラグ、3.5mmジャック、シールド線、はんだ、ケーブル止め

コンタクトピエゾを分岐させてマイクの信号をミックスさせます。この部品だけでは出力は弱いので他のパッシブのコンタクトピエゾとマグネットピックアップと同じようにプリアンプで増幅させて使用するようにします。

マイク作成と結果

仮で回路を作りコンデンサの容量を22μF、1μF、0.68μFとそれぞれつないだ時の音をレコーディングして比較してみました。

22μFのコンデンサの特性

1μFのコンデンサの特性

0.68μFのコンデンサの特性
耳で聞く違いはわずかですが特性をみても違いがわずかに出ているようです。22μFのものが最もフラットで聞こえも最も情報量を多く感じましたので22μFのものを採用しました。

基板へのはんだ付けは中学校の技術家庭の授業でラジオを作って以来でしたが、何とかなりました。出来たと思ってもはんだと部品との間に小さな隙間があったりして音が出ないという事が多いのではんだ付けの慣れが必要でした。音が出ないという問題を調べるためにテスターは必須ですね。

なんとか完成~
テスト段階で低域が出すぎてハウリングを起こすような場合はスポンジ(百均の隙間テープ)をマイクに張り付けると抑えられていい感じになりました。(最終的にはとってしまいましたが)可変抵抗(ボリューム)については最大値で十分でしたので今回は必要なかったかなと思います。トグルスイッチはなんとかサウンドホールに指を突っ込んでオンオフでき問題ありませんでした。
予定の場所に取り付け
テストでは予想通りの良い結果になっています。後は信頼性の問題になると思いますが今回はケースをつけてないのでそのうちにケースに収めるなどして見た目にもよくしていこうかと思います。改造パーツも作成しましたが、十分機能しています。

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