アコギで使うPositive Grid Bias FX2 mobileその2

 Positive Grid Bias FX2 mobileをアコギで使う話です。

Positive Grid Bias FX2mobileとはiPad用のアンプシミュレーターというアプリのことで、用途は主にエレキギター用ですが、エレキギターが「エレキの音」を出すために必要なエフェクターやアンプ、キャビネットなどをiPadの中でシミュレーションで実機に似た音を作り出してくれるアプリです。これがあればエレキ→(オーディオインターフェース+iPad)→PA(PC)という流れで、機材がなくとも「エレキの音」を作り出してくれ、主に宅録などのレコーディングで使われるものだったのですが、iPadで使えるようにしたことによってライブでも使えます、というみたいなのです。

このアプリはアコースティックギターもベースも使える用になっているのでこれをつかってライブで使えないかと模索しています。

前回の記事の通りセッティングをしていくつかの場所で試してみたのですが、出音がレンジが狭く厚みもなくペラペラの音しか出てきませんでした。少々がっかりしながら「所詮ソフトウェアで作った音だから・・・」と考えながらYouTubeにあげられている動画を見ていたのですが、まずはアンプとキャビネットのセッティングから音作りを始めないといけないのではという事に気づきました。

前回のを訂正します

アコースティックギター用に歪みがないアンプとキャビネットはいくつかあるのですが、最初に使ってみたときの印象はあまりにも元の音からかけ離れており、「これは使えない」と思い込んでいたのですが、キャビネットの前に設置するマイクの種類や配置場所を変えることにより出音が大きく変わるのがわかりました。Bias FXにはダイナミックマイク2本とリボンマイク1本、コンデンサマイク1本が1本または2本配置ができるようになっています。マイクを変えたり、配置を変えたりすることで出音がシャープなったり、マイルドになったり、空気感が出たりと、考えていたよりこのアプリは本格的なシミュレーターだったようです。

アコースティックアンプ
アコースティックキャビネット。右側が上から見たマイクの配置

アンプ自体はそれほどFX単体では中身の真空管や回路を変えられません(別途Bias Ampというアプリを購入する必要)のでキャビネットのスピーカー前に立てるマイクに工夫をすることにしました。音の輪郭を出したい時はSM57でスピーカーの近くに、よりアコギらしい音にするにはC414をスピーカーから離して中央寄りに立てるなど工夫するとより元音らしい音に変わり、また出音のレンジが広く、低域の厚みも出るようになりました。あまりアンプやキャビネットに知識がないアコギ弾きにない概念で勉強になります。

またこのBias FXは入力された信号をスプリッタで2系統に分割でき、それぞれにアンプやキャビネット配置できるので一つを何もエフェクトを通さず、アンプとキャビネットで元音に近い音で出すように出来るので、アコースティック用でなくベース用のアンプとキャビネットを代用すればレンジが広くより厚みのある重低音が得られるのではということが考えられます。押尾コータローさんが、ライブではベースアンプを使っているらしいという話もあります。Bias FXには素直な音が出るものもあり、キャビネットもベース用の4スピーカー付きのデカイものが使えるみたいです。iPad上での話ですけどね。

ベース用のアンプ。これが一番素直でした
ベース用のキャビネットにC414を二本配置

そんな感じで考え方を改めてセッティングをすると、最初とは全く違う思った通りの音が出ました。iPadのアプリの設定上の話なのに重低音が出ています。本当にこれは使える音なのか家の中のモニタースピーカー、PAスピーカー、ギターアンプで試してみましたが、出ていますね。それでも半信半疑でした。今まで投資してきた機材に比べ、ただのiPad(中古)ですから。

実際の現場での運用はプリセットをアルペジオ、ストローク・パーカッシブ、ディレイ・コーラスと基本を作り、曲によっては一部歪を入れたり、オクターバーを入れたり出来るように専用のプリセットを作り、フットスイッチを踏むだけでセットが切り替わるように作ります。またチューニング時に出音を切る用のフットスイッチをセッティングします。プリセットのストアがたくさんあるので曲の中でより細かいことが可能になりますし、それ用のエフェクトも豊富なので可能性が広がりますね。

会場のPAによっては出音のバランスが変わりますのでそれに応じてアプリ自体の出音のイコライジングも出来るようになっていますので対応が出来るかと思いますが、会場の出音の癖を瞬時に理解できる能力は必要かと思います。

全体のセッティングを変えることが出来ます

で、実際に野外ライブで試してみました。今回はワイヤレスのXviveを使ってみました。リハ無しのぶっつけでしたので・・・まあご覧になった人がやる気が出るためにやってますから(;^_^A 初めての操作は戸惑いますね。

感想としては
〇思ったより音が良い
〇重低音が出て狙い通り
〇飛び道具的なオーバードライブやオクターバ―もアコギの元音を消さずに丁度良く出てくれる
〇セッティングが会場とマッチしてなく、低音が出すぎでPAさんにお願いして調整してもらった。改善の余地あり
〇Xviveとの併用はわずかに音のレイテンシーがあるが、演奏に支障が出るほどでなく使える
〇曲ごとのプリセットの切り替えは少し慣れる必要がある
〇チューナーは不安定で使えない

と割と聴いてくださった方からもポジティブな感想の方が多く、iPadでこれだけのことが出来るのが驚きでした。実機でやったらかなりのエフェクターやアンプ、キャビネットを並べる必要があります。2か月前まではiPadも触ったことがなかったのに、あまり認めたくない事ですが、今のところこれで十分以上、という気がします。

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