素人が行う簡易ネックリセット

素人がネックリセットをすることができるか? 

前回に手に入れたYAMAHA FG180の弦高が高くて修正が難しいためネックリセットを行ってみました。難易度が高いアコギのネックリセットですが荒業で簡単に行うことができます。今回二回試してみましたが有効であることがわかりました。ただし仕上げの面で今後の課題がのこりました。

荒業?ネックリセット
本来のネックリセットの現場にも立ち会って見せていただいた事もあるのですが、技術的に難易度が高く見えました。ネックを接合している部分の接着剤を熱で柔らかくして外す作業が上手くいかない場合もあります。15Fあたりにネックとボディとの接合の隙間があり、そこに蒸気を当てることができればいいのですが、そこに隙間がない場合もありその場合は指板ごとはがす追加作業が発生します。手に入れたFG180も15Fあたりにネックリセットを行おうとした跡が残っています。多分うまく行かなかったんでしょう。

簡易ネックリセット

ネットで偶然知ったネックリセットの方法を今回試してみることにしました。スチームでネックを綺麗に外す手順を省いてネックをノコギリで切ってしまうという方法です。
簡易ネックリセットの流れ
方法は上記の図の通りになりますが、問題はネックとボディの隙間が出ててしまいそこをパテなどで埋めてしまうことに問題はないのかという事です。最近ではボルトジョイント式の取り外しのできるギターも増えておりネックとボディが完全に密着しなくとも問題ないという考え方があるようです。テイラーギターでも実際は木が収縮してネックとボディとの隙間ができてしまっている場合も結構あるようですよ。

注意すべき点

ネックを切ってしまうという事以外は通常のネックリセットと変わりありません。指板が14Fのところからへの字に曲がりますので14Fがフレットの高さの頂点になりそれよりも高いフレットの高さが下がります。全体的にフレットの高さを見直す必要が出ます。最悪全フレット打ち直しが発生するかもしれません。また弦高が下がりすぎたりする場合がでますのでサドルの作り直しが必要になるかもしれません。その辺の調整が出てきますので面倒なことは多いです。また切断面をきれいに仕上げるのには接着剤の知識、塗装の知識、研磨の知識の取得など経験しながらの試行錯誤が必要ですね。

試しに切ってみた

早速試しに古いクラシックギターを切ってみました。切る前にネジを埋め込む穴を開けます。
ネジを埋め込む穴を開けます。
ネジのヘッド部分が大きさがあるのでその部分が入るくらいの穴をタケノコドリルで開け、それからネジを通す穴を開けます。この穴は木工用エポキシ接着剤で色つきのものが売っていますのでそれで穴埋めをするつもりです。

ノコギリを引いています
ノコギリに慣れていないので中々思う通りに切れませんね。サーと切ってみるとボディの方もすこし切ってしまいました。傷だらけで後で傷直しが必要です。でも指板の近くまでノコギリは入りました。

次にネジを埋め込んで締め込みます。ネックヒールとネックブロックををFクランプを使って締めます。そしてダイソーで購入した透明なエポキシ接着剤と切りくずを混ぜてペーストを作り隙間に接着剤を流し込みます。接着剤が乾いたのちにパテをいれてネジ穴を埋めたり、接合部をヤスリがけして均して着色して目立たないようにします。ここら辺の見栄えをよくするのが割と経験がいりそうです。

結果として、12F 上の弦高が3mmから1mmになり2㎜程さがりました。

つぎにFG180をやってみます。
ネジ埋め込みの穴を開けます
まずネジを埋め込む穴を開けます。ネックブロックまで貫通させます。前回じつはドリルの径が広すぎてネジが途中で空回りしてこともあり、今回は径を小さくして開けました。
ノコギリで切断中
ノコギリ切りは一番の慎重さが必要でした。一挽きずつ慎重に行わないと角度を間違えてしまうとそこからのリカバリーが難しくなります。私の場合角度を間違えて接合部ではなくネックをそのまま切ってしまうことになりました。またこのギターにはトラスロッドが入っていますのでノコギリはそこまでしか入りません。途中でトラスロッドにぶつかります。
Fクランプで固定します。
ネックヒールとボディの隙間を合わせるには割と力がいります。そこでFクランプと小さな木片を使って締めあげて隙間がなくなるように締めます。そしてあけた穴にネジを入れて締め込みます。
ネジを埋め込んだ様子
切った隙間にエポキシ接着剤に切りくずを混ぜたペーストを流し込みます。乾いたのちに状態を確認してネジ穴に木工用エポキシ接着剤を埋めて整形します。あとは余分な接着剤を取り紙やすりで除いたり均したり着色したり磨いたりと見た目をよくする作業になります。着色は百均で購入した茶と黒のアクリル絵の具で色を作り塗ります。紙やすりで丁寧に凹凸をなくし、ラッカーなどでリタッチすると見た目にそんなにわからないようになるかと思います。
接合部ではなくネックを切ってしまい、失敗かと思われましたが問題なくできました。結果として12F上の6弦の高さが3.5mmから2mmへと変わりました。

簡易ネックリセットを行った結果

クラシックギターにはトラスロッドが入っていなかったので切込みが指板近くまで入りしっかり弦高を下げることができましたが、FG180の場合は途中にトラスロッドが入っているので切込みが途中までしか入らずまた切込みがネック接合部ではなく手前のネックを切ってしまった結果として目標の2mm下げまで行きませんでしたが、許容範囲のレベルまで下げることはできました。切幅の大きさはあまり考えておらず、単にノコギリを入れただけです。丁寧にネック接合部のところに切込みを入れればうまく行ったと思います。この後全フレットを交換します。

簡易ネックリセットで思う事

作業の一番大切な事はノコギリを正しく入れる事だろうと思います。刃の小さいノコギリで丁寧に入れた方が良かったか?実は糸鋸も試してみたのですが、糸鋸の先の方の部分がボディと干渉して上手くひけなかったのです。普通のノコギリだと刃の反対側、刃がボディと接触してないかどうかが見えないためやりにくいです。糸鋸がボディと干渉することがないものがあれば、できれば刃の向こう側が見えてひきやすい糸鋸または刃が細い挽き回し鋸の方がきれいにできると思いました。ノコギリがきれいに入れば仕上げの見栄えもまったくわからない状態になると思います。また、今まで弦高で弾けなかった古いギターが蘇る可能性かありこの工法は大変有効だと思います。
作業後のネック

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