ヤフオクの「激鳴り」ギターについて思うこと

ヤフオクで再びアコギを購入した

30年前のヤマキギターが良かったのを思い出す

20代のそんなにアコギに知識がなかった頃、手元にいくつかギターがあり、その中でももらったギターの中で地味だけど良くなるギターヤマキF112だったと思いますが、よく弾いていました。ヤマキはすでに存在していない日本のギターメーカーですが、評価は高く今でも良いモデルは高値で中古市場に流通しています。ヤマキは「ヤマキ150」以上の数字の大きいものがよく、少なくともTOP単板以上のものに良い値段が付きます。今回ドレッドノートではなく、マーチンOOOみたいな小さいサイズで良く鳴る個体はないだろうかと探すことにしました。

「激鳴り」「表板単板」「自信をもっておすすめ」

ネットで探すと販売店も出しているビンテージギター専門店の商品を見つけました。YAMAHAなどの多くの販売実績のある店がヤフオクで出品しており、「激鳴り」「TOP単板」「自信をもっておすすめ」「レコーディングも」の言葉が載っています。これだけの数の実績があるならば大丈夫だろうと思い落札しました。

落札価格は高め

昔のギターは販売価格がそのまま商品品番に反映され、F112ならば1万2千円、150ならば5万円と当時の小売価格がすぐわかるようになっています。ところがその商品は品番の倍以上の価格がついていました。これは相当な当たり個体だろうと勝手に想像してしまいました。その店によると末永くギターを使っていただけるために調整しており、人件費がかかっているとのこと。

演奏動画もある

そのギターの演奏動画もありました。どの動画も同じ曲であるのでこのギターがどれ位のレベルかがわかるようになっています。試奏曲がミドルテンポ以上でストローク中心、ローポジション中心なのが気になりました。もう少し下手でもいいのでテンポを落としたスローな曲で倍音の出方などが見えるようにして欲しいと思いました。あえてそのギターのアラが見えないような試奏動画が引っかかりました。正直どの動画もそのギターの個性が見えてないんですね。少しの不安が。

ギターの調整で一週間近く待たされた

落札後発送まで「調整」ということで6日間かかりました。まあ確かに最大9日とあるので説明通りなのでしっかりやってくれるのでしょうと思いましたが・・・

ギター到着

ゆうパックで到着しました。ハードケース付きでないため、直接ギターにプチプチが巻かれた状態になります。ヘッドとネック、ボディには保護のためダンボールを巻いてくれています。まあ最低限の包装ですがしょうがないですね。郵便局も結構ゆるいですね。

ご到着~

早速試奏

ぐるぐる巻のプチプチを取り除き試奏してみます。ギター自体に痛みなどはありませんでした。ネックも問題なし。ただ見た目がただの古いギターにしか見えません。音も倍音少なめのヌケの悪いそれなりの合板サウンドです。弦高は12F上6弦3mm以下でそれほど高いということもないのですが、少し弾きにくい。ナット側の6弦1F上の弦とフレットの隙間が1mm近くありました。ナット側の調整が不十分で弾きにくいようです。他のギターとも弾き比べましたが家のギターのほうが鳴っておりとても「激鳴り」とは言え無いよね、という感想です。まあ正直言葉に踊らされて失敗したのでした。とても値段の価値がないというのが正直なところです。

「単板」ではなかった

失敗したとは言え、これは私の過失になりますのでどうしようもなく、どうしたらこのギターを使える代物にするか考えました。ギターの変形はあまり見られませんでしたが、弦高を下げるには十分なテンションが足らず、ネックの仕込み角が不十分で作りが甘いようです。調整もどうしようもない「安物」ギターなんですね。ナットは作り変えなければならずこれは大変だ・・・と思ってサウンドホールに目をやったところ、表板が3層になっていることに気が付きました。見ようによっては3層に見えない箇所もあり、そこを見て販売者が見誤ったようです。バリバリの安物合板ギターでした~orz

3層からなる、これは合板。

クレームを入れる

早速、表記と違うということで販売者にクレームを入れて証拠となる写真を添付しました。そこはちゃんとしていて「3人で見たんですがね~すみませんでした」ということで案外すんなり受け入れてくれすぐに返金・返品ということになりました。単板でなかったということで返品となりましたが、それがなければこのまま受け入れるしかなく、調整のしようもない安物合板ギターを家に抱えるしかなかったところでした。それにしても・・・商品にそぐわない過大広告とは・・・商品説明文を使いまわしにしている結果そうなっちゃったんでしょう。

「激鳴り」で踊ってこの度学んだこと

安物ギターは古くなってもしょせん安物の音でしかない

安物ギターはネックの仕込みが甘くプレイアビリティに欠け調整は難航する

「激鳴り」の言葉に騙されてはならない、鳴ったとしても音は安物の音

上記の動画ですが、どう思いますか? ヤマキ、いいんじゃね?と思う人も多いのでは。結構よい鳴りはしていると思いますが、部屋の天然リバーブの響きに耳が騙されていると思います。上記の動画と今回のギターは別物ですが私もこの度の失敗は響きの良い場所での演奏動画で勘違いしたのでした。実物は全然違いました。私のMartinにははるかに及びませんでした。鳴りは良くてもMartinの倍音を含む高級ギターには全然届かないと思います。

以前もヤマキの実際の音を聞いたりしましたが、あと一歩のところで及ばない・・・でもその一歩は決して届くことなく大きなギャップなのだろうなだと思います。以前弾かせてもらったことのあるヤマキ150は総単板ものでしたが、鳴りは良かったですが倍音がマーチンほどなく鈍重であと一歩な印象を受けました。

本当にジャパンビンテージと呼べるのはTAMAギターではないでしょうか。現在でもヤマキハカランダ総単板以上の価格で取引されていてその価格は現在の高級ギターとほぼ同じです。

昨年ヤフオクで手を出した橋本ギターについてはコンディションに問題がありましたが、ギター自体のポテンシャルは素晴らしかったです。関心がない人からみればほぼゴミでしかないギターですが、「271」は音がよくもう一本ほしいと思っていますし、「鳴響」は生音が家のギターの中でも最も大きな音で鳴り存在感があります。ヤフオクの決してすべてが間違いではありませんが、ご参考まで。

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