昨年から、自宅でアコースティックギターを作る、ということをやっています。
最初は「本当にできるのか?」という半信半疑な気持ちもありましたが、気が付けばここまで来ていました。
今回は市販キットをベースにしつつ、ネックとサイド板以外のパーツは入れ替えています。
限られた工具環境の中で、どこまできちんと形になるのかを確認する、という意味合いも強い一本でした。
完成からしばらく使い続けた現在の状態を、少し落ち着いて振り返ってみます。
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| 自作のアコギ |
現在のコンディション
まず構造面ですが、今のところ大きな変形や不具合は出ていません。
このあたりは正直、作り終えた直後よりも、時間が経ってからの方が安心感があります。
冬場で乾燥しやすい時期ということもあり、12フレット6弦の弦高は約2mmとやや低めです。
とはいえ、演奏に支障が出るほどではなく、個人的には「ちょうどいいな」と感じるラインに収まっています。
塗装はシェラックによるグロス仕上げです。
よく見れば、表面にわずかな凹凸や色調のムラは残っています。
……残っていますが、普通に使っている分にはまず気づかれません。
このあたりは「次はもう少し詰めよう」という、分かりやすい課題ですね。
音について
トップ材にはアディロンダックスプルースを使っています。
まだ弾き込み途中ではありますが、最初に音を出した時点で、レンジの広さははっきり感じられました。
ストロークでは音が前にまとまって出ますし、
ピッキングを少し荒くしても、低音が潰れずについてきます。
弾き語りもいけるし、ソロギターも問題ない。
ちょっとドン、と強めに弾くブルース寄りのフレーズも、ちゃんと受け止めてくれます。
弾くたびに「やっぱりアディロンダックはいい材だな」と思うのですが、
同時に「高いのも納得だな……」とも思います。
もうひとつ、今回あらためて感じたのが塗装の影響です。
今回はラッカーやポリウレタンではなく、比較的膜厚の薄いシェラック塗装を選んでいます。
その分、耐久性や作業性の面では気を使う部分もありますが、
出音に関しては、少なくとも自分の中では「従来の製品に比べて劣っている」と感じることはありませんでした。
むしろ、弾き始めからトップの反応が素直で、
タッチに対する返りの速さや、音の立ち上がりは好印象です。
塗膜を薄くすることによる影響については色々な意見がありますが、
今回の一本に関して言えば、音を抑え込んでいる感じはなく、
この選択は間違っていなかったかな、と思っています。
いくつかの仕様について
サイドサウンドポートは、思っていた以上に効果がありました。
自分に返ってくる音がはっきりしていて、小さめの音量で弾くと特に分かりやすいです。
最近のルシアーギターでよく見かける理由も、実際に使ってみると腑に落ちます。
ボディ形状は、控えめなエルボーコンターとバックコンターを組み合わせています。
ドレッドノートサイズですが、抱えたときの違和感はかなり減りました。
バックコンターは、右足に乗せて弾く人には特に効きますし、
立って弾いたときにギターが自然と身体側に向いてくれるのも、地味ですが助かるところです。
実際に使ってみて
このギターには自作のピックアップを取り付けていて、すでに何度か人前で演奏しています。
今のところトラブルはなく、音量やバランスも特に問題ありません。
「ちゃんとギターとして成立している」
作り手としては、この一言に尽きます。
アディロンダックスプルースのトップのおかげで、
ジャキっとしたストロークも、レンジを使ったソロプレイも、無理なく対応してくれます。
正直、予算が許すなら使いたくなる理由は、弾いてみるとよく分かります。
作ってみて分かったこと
振り返ってみると、仕上がりの差は
「最終形をどこまで具体的にイメージできているか」
ここに集約されると感じています。
特に箱の製作段階では、ブレーシングや切り込みを完成後の姿から逆算して考えないと、
あとから「ここ、触らなくてよかったな……」という部分が出てきます。
そのほかにも、
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接着は、圧力をきちんとかけると結果が素直に出る
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木工機械は、特性を理解して使うと一気に落ち着く
といったことが、経験として整理できました。
トリマーについても、回転数を落とせる機種を低回転で使うようになってからは、
騒音も操作感もだいぶ穏やかになりました。
今では「怖い道具」ではなく、普通の工程のひとつです。
ネック接合について
ネック接合はボルトオン方式を選びました。
これは本当に助かりました。
角度調整ややり直しができるので、変に構えずに作業できます。
もしこれが全接着だったら……と考えると、今でもちょっと身構えます。
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| 次回作のためにラジアスディッシュを自作しました |
まとめ
今回の一本を通して感じたのは、
アコースティックギターは、基本をきちんと積み重ねれば、ちゃんと形になる楽器だということです。
今はすでに次の一本に取りかかっていて、
次回はサイド板の曲げ加工から行う総単板仕様を予定しています。
今回の経験を土台に、もう一段、精度を上げていくつもりです。
また進展があれば、ゆっくり書いていこうと思います。
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