【自作アコギ製作記】D-18スタイルをベースに、独自の演奏性を形にする

 前回の製作経験を経て、より完成度の高いものが作れる実感が湧いてきました。現在製作しているギターの進捗です。

今回のテーマは、伝統的な Martin D-18 の良さを引き継ぎつつ、「ドレッドノートは大きくて抱えにくい」という悩みを解消することです。OOOもスモールジャンボも見た目がスリムでカッコイイですが、やはりしっかりした低音と響きのあるドレッドノートがアコギとしては生音を鳴らして気持ちがいいものです。シトカスプルースとマホガニーの総単板、指板とブリッジにはエボニーという、総単板ギターとしてはスペック的に標準の構成で進めています。このスペックでもMartinで購入すれば50万円程度にはなってしまうという市場が高騰した現状ですがそれが自作によってそれほど掛けなくても済んでしまいます。

今回はドレッドノート用のハーフサイズアクリルテンプレート板を導入しました。設計図通りに作られており、これ一つでブレーシングの位置まで正確に把握できまた治具の自作にも活用できて作業の安定性が格段に向上しています。

1. サイド板:自作治具でのベンディング

まずはボディの輪郭となるサイド板から。マホガニーの単板を自作トリマー平面だし治具とサンディングで適正な厚みまで調整した後、曲げの工程に入ります。

ここで活躍するのが、自作のサイドベンディング用治具です。シリコンヒーターで熱を加え、ゆっくりと型に馴染ませていきます。この自作治具のおかげで、精度の高いサイド曲げがスピーディーに行えるようになりました。

自作のベンディングマシーン

曲げ終えた板は自作のモールドにはめ込み、形状を落ち着かせます。最初はスプリングバック(跳ね返り)していた板が、徐々に型に馴染んでいきます。

トップ板(シトカスプルース)も加工が進んでいます。はぎ合わせの後、全体のバランスを見ながら慎重に板厚を追い込みました。

サウンドホールの開口とロゼッタ(装飾)の溝掘りには、プロクソンのリューターをベースに固定して使用しています。こうした精密さが求められる作業も、信頼できる工具を適切に使うことで、ズレのない加工が可能です。

ロゼッタの溝堀

3. 「抱えやすさ」を仕込むための構造

サイド板が安定したら、ネックブロックとエンドブロックを接着して繋ぎ合わせます。

アコギのボディは複雑な形状をしています。サイド板の幅はネック側に向かって狭くなる(テーパーが付く)だけでなく、バック板との接地面には15フィートのR(アール)が付きます。この複雑なすり合わせのために、今回はラジアスディッシュも自作して投入しました。

ラジアスディッシュは15ftと25ftを作成

今回の大きな特徴である「コンター加工」と「ベベルドカッタウェイ」の仕込みも進めています。 エルボーとバックのコンター部分は、強度が落ちないよう、自作の幅広ライニングで補強します。これはバスウッドを三角柱に切り出し、スリットを入れて加工したものです。

カッタウェイについても、ハイフレットの操作性とボディ容積の確保を両立させるため、最小限のカットでベベル(傾斜)を付けます。ここには、あらかじめ切り出したバスウッドのブロックを配置しました。

コンターブロックを仕込む

さらに、エンドグラフトにはベイクド・ローズウッドを加工してはめ込みました。その後、ラディウスディッシュにサンドペーパーを敷き、ボディを回しながら、バック板が隙間なく接着できるようラウンド形状にすり合わせていきます。

4. バック板の調整と接着

裏板となるマホガニーも、ゲージを使って厚みを確認しながら、サンディングで微調整を繰り返します。

ブックマッチでジョイントした後は、15フィートのRをつけたブレーシング(力木)を接着します。

コーバーデッキでブレーシングの接着

接着には、ラジアスディッシュと自作のゴーバーデッキを使用します。竹の棒の弾力を利用して圧力をかけるこの方法は、クランプよりも接着状態が視認しやすく、確実な作業が可能です。

5. フィッティングの確認

現在は、サイドの枠にバック板を合わせ、最終的なフィッティングを確認している段階です。ブレーシングがサイド板と干渉する箇所をリューターで正確に溝掘りし、落とし込んでいきます。

ライニングの溝堀

ボディの内側から光を当て、バック板との間にわずかな隙間もないことを確認。接着剤を塗り、再びゴーバーデッキで圧力をかけて接着します。

バック板の接着

一歩ずつですが、着実に形になってきました。次回はトップ板のブレーシング接着に入ります。

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