自宅でアコースティックギターを製作しています。その第8回目です。
■ サドルとブリッジの作成
弦高がちょうど良い状態にあるかどうかを確認するため、サドルとブリッジを作成しました。
キットに付属していたものはプラスチック製だったので使わず、牛骨で新たに作って調整しています。
製作時にはネック角も問題ないと思っていましたが、実際に組み立ててみると角度がわずかに足りず、サドルをギリギリまで下げないと弦高が適切な高さが出ない状態に。
ちなみに、スチュマックでは「ネックから伸ばした定規がブリッジ上に乗るくらいが理想」とされていますが、その通りに作ってもこの問題が起きました。実際は微妙な角度差が影響するようです。
■ ネックの反りを確認・修正
まずはネックの反りをチェックします。
1弦にカポをして14フレットを押さえ、その中間で弦とフレットの隙間を確認すると約0.5mm。少し高めだったので、付属の六角レンチでトラスロッドを調整しました。
汎用のレンチでは合わないため、このレンチは絶対に無くさないようにしなければなりません。
調整の結果、しっかりと反りが修正されました。
■ ネックヒールの微調整
今回、ネックヒールをエボニーで自作して取り付けたのですが、その部分がほんの少し出ていたようです。
ボルトを緩めるとネックヒールとボディの間に隙間ができるので、そこに薄いヤスリを差し込み、わずかに削って調整しました。
ボルトオンネックは、ネックを完全に外さずとも角度調整ができるのが便利ですね。
■ ナット調整と弦高測定
ナット高は6弦1フレット上で約0.8mmあったため、これもナット専用ヤスリでギリギリまで落としました。値段が高くて購入を躊躇したナットヤスリも今は結構役に立っています。
結果、6弦12フレット上で2.3mmに。
底面を削っただけのサドル補正タイプの汎用サドルでオクターブチューニングもほぼ狂いなし。これは奇跡的です(笑)
■ フレット調整と磨き
ラジアスを整えるようにラジアスブロックでヤスリがけし、弦を張ってビビりを確認。
14フレット以降に若干のバラつきがあったので再調整しました。
最後にマスキングテープで養生し、フレットの形を整えて磨き上げます。
■ 完成とスペック一覧
これで一応「完成」と言える状態に。
塗装面に若干の手直しは残っていますが、サウンドチェックに進みます。
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| ほぼ完成の所をパチリ |
バック板:アフリカンマホガニー(単板)
サイド板:マホガニー
ネック材:マホガニー
指板材:エボニー
ブリッジ材:エボニー
ナット・サドル:牛骨
ブリッジピン:水牛
塗装:シェラック
ペグ:ARIA AT-280A
ナット幅44mm
スケール645.2mm
ステンレスフレット
ベベルドカッタウェイ
エルボーコンター
バックコンター
サウンドポート
■ 鳴りと演奏感
トップの塗装が仕上がったらピックガードを取り付ける予定です。
軽く弾いた感じでは、出音が大きくレンジも広く、手工ギターらしい表現力を感じます。
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| 横からパチリ |
工業製品と違い、塗装が極めて薄いことも影響しているでしょう。
やはり塗装の仕方は音に直結しますね。
アディロンダックスプルースの響きは素晴らしく、低音が深く鳴り、これはかなりの成功作だと思います。
「キットの音なんてしょぼい」と思う人もいるかもしれませんが、これは間違いなく高級ギターの音です(笑)
■ ナット幅とプレイアビリティ
キットの指板は42mm程度でしたが、ネック材自体は大きめだったので、44mm幅の指板を新たに作成してぴったりフィット。
以前の改造した橋本ギター(ナット幅43mm)ではハイポジションが窮屈でしたが、今回の作成は余裕がありコードも押さえやすいです。こののキットの指定のスケールは650mmとやや長めでテンション強め、もともとはコード弾き向けの設計。
Martinのスケール645㎜に変更してそれをフィンガースタイル向けにリメイクした形になります。さらに、12フレット以降も快適に弾けるよう、最低限の加工でベベルドカッタウェイを導入。
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| ベベルドカッタウェイ |
「手間をかけてカッタウェイにサイド板を変形させなくても十分機能するじゃない?」と思えるほど、効果的でした。
■ Martin OOO28ECとの比較動画
完成したばかりの Mirabilis と、以前にシェラックによる再塗装を終えて“最強の鳴り”を手に入れた Martin OOO28EC の比較動画をYouTubeにアップしました。Mirabilisは初めての音出しです。
シェラック塗装のおかげですごく良い状態になってMartinは鳴りますが、動画ではわかりませんがMirabilisはサウンドポートのおかげで、耳に届く音量がMartinより明らかに大きく、音の分離も抜群。
ひとつひとつの音がクリアで明瞭、出来立てながらとても気に入りました。
Martinの豊かな倍音とは違うキャラクターで、手工製ならではのストレートな響きが心地よいギターに仕上がったと思います。
■ トップの塗装には課題が残る
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| バックはうまく行ったのですが・・・ |
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