ソロギターのライブ演奏において、モニター環境は非常に重要です。バンドで使用されることが多いインイヤーモニター(イヤモニ)を、今回ソロギターのライブで試してみました。使用したのはLEKATO ワイヤレスインイヤーモニターシステムとKZ EDX Lite 有線イヤホンです。
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今回使用した機材 |
ソロギターライブでの使用感
ソロギターのライブでは、弾き語りと違い演奏中に観客からの様々な音が耳に入ってくるため、演奏に集中しづらいことがあります。また、ライブ環境では音の強弱が大きく生音とは違う違和感を感じやすく、モニター環境を整えないと演奏に影響を及ぼすことも少なくありません。そこで、不要なノイズを遮断し、モニターの音に集中できる環境を作るために、今回のイヤモニを導入しました。
セッティングについて
一般的にイヤモニはPAミキサーのAUX出力に接続して使用します。しかし、事前にPAエンジニアと相談していないと、慣れていない場合には対応してもらえないこともあります。そのため、今回は自分の機材のヘッドフォン端子や、PAミキサーのヘッドフォン端子を利用して音を取る形でセッティングを行いました。
PAさんには「イヤモニを使いますので中音はカットでお願いします。その分外音を大きく出してください」と伝えます。弾き語りのギターのレベルと同じレベルでソロギターの音を出してもらうと全体的に出音が小さくなり、他の出演者よりも音負けしてしまいます。そのような状態を回避するためにもそんな言葉は必要かと思います。
実際の使用感
ワイヤレスのLEKATOシステムはセッティングが比較的簡単で、大きな遅延もなくスムーズにモニター環境を構築できました。ただし、イヤモニの音と外の音とは違いが出ますので外の音を一度確認しておいた方が良いかもしれません。
また、KZ EDX Liteのような形状は、急な大きな音が出やすい本番前の機材準備中には耳にインせず、耳にかけて耳から距離を置いておき、演奏開始時にしっかり耳にインして使用するという使い方ができるため、便利に感じました。本来ならばイヤモニはもっと高価なものとなるのですが、ソロプレイヤーで遮音性はあまり必要ないためこれで十分でした。
タッピングや早いフレーズでの箇所は通常のモニターでは塊になって聞きづらく、弾きづらいこともありますが、イヤモニを使用することで音の聞き分けができて大変弾きやすく感じました。
一方で、いくつかの課題も感じました。ワイヤレスシステムの特性上、セッティングによっては他の機材のノイズを拾ってしまうことがある点は注意が必要です。その場合は、できるだけトランスミッター側の機材を他のものから離します。また、イヤモニを使用することで観客の音が遮断されるため、ステージ上で観客の反応がわかりにくくなるというデメリットもありました。MC中でのステージで観客の声を拾い上げる場面がある場合、それが少しやりにくくなったりします。
イヤモニを使うことの是非
プロのソロギタリストの中にはモニターを一切使用せず演奏する方もいます。これは、経験や鍛えられた耳によって、外音だけで十分なパフォーマンスができるからでしょう。しかし、アマチュアにとってはそこまで耳が良いわけでもなく、また聴衆が静かに耳を傾けている環境は少なくBGM替わりとばかりにガヤガヤと会話の内容が演奏中に聞こえるようなノイズだらけの集中を要するのに集中できない環境で演奏する場合もあり、しっかりとモニターが聞こえた方が安心して演奏できると感じます。
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出来るだけ楽しよう(笑) |
ただし、モニター音量を上げすぎると、ソロギター特有の広い音域の中で、低域のエネルギーが強い部分でハウリングが発生しやすくなります。そうなるとPA側でハウリングを防ぐために低音をカットする必要が生じ、その結果、メインスピーカーからの音が小さくなり、低音が削られて、弾き手のイメージと違うサウンドになってしまう可能性があります。特に対バン形式のライブでは、他の出演者と比較して音が小さくなることで、印象が弱くなってしまうことも考えられます。
そのため、可能であれば外音をしっかり出してもらい、ハウリングの原因となるモニターは極力カットした方が良いという考え方もあります。特に、経験を積んでいく中で、モニターに頼らずに演奏できるスキルを磨くことも重要になってくるでしょう。
まとめ
ソロギターのライブにおいて、イヤモニの使用は演奏に集中するための一つの手段ではありますが、一方でPAとのバランスや、演奏の聴こえ方に影響を与える可能性もあります。最適な音環境を作るためには、外音の調整を優先し、ハウリングのリスクを避けながら、自分に合ったモニター環境を探ることが重要だと感じました。
演奏に集中しやすい環境を整えることと、観客への音の伝え方のバランスを考えながら、今後も試行錯誤していきたいと思います。
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