小さめアコースティックギターの製作記録 — 1940年代のGibson L-00を手本に

2作目のミラビリスを完成させた後、知人から「ギターを作ってほしい」との依頼を受けました。体の小さな方が主に使うということで、パーラーギターのようなコンパクトなボディが合いそうだと判断。調べていくと、海外ルシアーサイトで公開されている実測図で1940年製のGibson L-00を実測した設計図が存在することがわかり、それをベースに製作することにしました。

設計図の印刷と型作りから

実物大の図面を外注印刷するのはコストがかかるため、A3サイズに分割して印刷し、テープで貼り合わせて実物大の設計図を作成。ボディのラインをハサミで切り取り、板に写してテンプレートを製作しました。ホームセンターで購入した合板からモールド用と、サイド曲げ用の型を切り出します。

合板で治具を作成
バンドソーを導入した理由

今回の製作で大きな転機になったのが、卓上バンドソー(藤原産業SK11)の購入です。L-00は標準的なギターと寸法が異なるため、既製品ネックが流用できません。ネックも自作する必要が出てきたのが決め手でした。

SK11のバンドソー
買って正解でした。 木材の切り出し作業が大幅に時間短縮。治具パーツの切り出しもスムーズにこなしてくれます。ただし無理なカーブを切ろうとして一度刃を折ってしまいました…

ボディ製作の流れ

バック板・サイド板・トップ板を購入し、自作の平面出し治具(トリマー使用)で必要な厚みに仕上げます。板を剥ぎ合わせてテンプレートで形に切り出したあと、トップ板にはL-00らしいロゼッタのパーフリングを施しました。

トップ板の状態

ブレーシングも設計図通りにスプルースから切り出します。幅5mm・肩を落とした三角形断面とかなり薄め。ブリッジプレートにはメイプル材を使用しました。

ブレーシングを接着したところ

サイド曲げは水に浸した板材をアルミホイルで包み、型に固定してシリコンラバーヒーターで加熱・加圧する方法。曲げ後に戻ろうとする性質があるので、型にはめたまましばらく落ち着かせます。

シリコンラバーヒーターでサイド曲げ

ヒールブロックとテールブロックは、設計図の指定サイズが既製品より大きかったためメルカリで入手。ラウンドディッシュを使ってブレーシングとライニングを接着し、箱を閉じました。

ボディが完成 エレアコ仕様です

最大の山場:ネックの自作

L-00はヘッド角が通常の14度ではなく17度になっています。スカーフジョイントで17度を出す必要がありましたが、丸鋸がないため、バンドソーで近い角度に切ってから治具+ペーパーで17度に整形し直す方法をとりました。思ったよりうまくいきました。

ネックを17度に整えているところ

トラスロッドは通常サウンドホール側からの調整ですが、このタイプはヘッド側での調整が必要。溝を掘り、六角レンチが入る穴をヘッド側に広げ、型取りした突板で蓋をする形にしました。

ネック作成は手間がかかります

ネックの削り出しはドリルに取り付けるローラーサンダーを使用。一番の懸念でしたが、思いのほかすいすいと削れてネックらしい形になりました。指板は630mmスケール・フレット溝済みのローズウッド既製品を使用。フレット打ち込みは今回ミニ万力での圧着を試みたところ、これまでよりずっときれいに仕上がり、ようやく自分の中での定番手法になりそうです。

突板の接着

ネックジョイントはダブテイル+ボルト併用方式。ダブテイル治具の使い方を改めて理解し直して、なんとか形になりました。一応の形が見えてきたところで、いよいよ塗装工程に入ります。続きはまた次回。

とりあえず形になってきました
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